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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


鬼を倒すのに大いに役立ってくれている血は有難く、重宝している。
そのお陰様で実弥やしのぶを含む多くの剣士たちの心労が絶えないのだが、柱稽古の先にある戦闘で活用されるので誰も強く言えない。

その血は過去に一度、鬼舞辻にも効力を発揮すると判明したので、鬼にとって間違いなく猛毒だ。
更にあの時よりも能力を日々継続的使用により強い毒となっている。

そうなってくると心配になるのが人への影響。
自分の体に何の異常もないことから自身に悪影響を及ぼすことがないと証明されているが、他の人に対しては分からず悩んでいたのだ。

シュンと視線を湯に落とした風音を励ますように肩に手を置く。

「私も風音ちゃんのような体質の子は初めてなので確証は持てませんが、人に対しても害があるのであれば、今既に影響が出ているはずですよ?誰も鼻や口を押さえて逃げていかないでしょう?」

ここ最近は鬼を狩っていないので分からないが、確かに言われてみれば任務地で鼻や口を押さえて逃げていくのは鬼だけだった。

日々汗水を流し稀にかすり傷を作っても実弥はもちろん剣士たちの誰も不快感を露わにしていない。
しのぶの言葉にそれらが思い起こされたらしく、風音の表情が一気に明るくなった。

「はい!あぁ、しのぶちゃんに聞いてよかったぁ!ありがとうございます!お礼に明日の朝ご飯はしのぶちゃんの好きな物をたくさん作ります!えっと、確か生姜の佃煮がお好きだったように思うのですけれど」

「何か不安なことがあればいつでも聞いて下さい。一人で悩み過ぎては不死川さんも気を揉んでしまいますから。礼には及ばないことですが……そうですね、生姜の佃煮は大好きです。ありがとう、風音ちゃん。知っててくれたんですね」

束の間の休息、安穏とした時を浴槽内にてしばらく二人で堪能した後、風音に待ち受けていたのは……長時間湯に浸かりすぎたことによる逆上せだった。

何故か元気なしのぶに居間まで送ってもらい、実弥には呆れられながら介抱してもらった。

ちなみに傷痕を薄くする薬を試したのは風音の様態が良くなってからだったらしい。
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