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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


「胡蝶がかァ?珍しいこともあるもんだな。で、何の話してたのかは知らねェけど解決したのかよ?」

腕を伸ばし続けて待っている風音はしばらく放置することにしたようだ。
それでもめげることなく笑顔のままなので、風音にとって実弥がしのぶと話すことは問題ない……と言うよりも、実弥が迎えに来てくれた喜びの他にも喜ぶ何かがあり、それを体現しようとしているように映る。

「はい、お陰様で。日々不死川さんが風音ちゃんに言い聞かせていたと思われる言葉で、説得されてしまいました。私の手段は最後の最後の切り札に取っておくことにします」

「あ"?何だァ?お前でもコイツみたいに変なこと考えることあんのか?止めとけ止めとけ、後で誰かから説教くらうぞ」

「それはそれは。フフッ、皆さんが風音ちゃんを叱るのは心配しているからですよ。さて、私もそろそろお家に帰りますね」

二人の遣り取りが終わろうとした時、風音はどうにかこうにか頑張って実弥の手から逃れ、しのぶの手を握り締めた。

「しのぶちゃん!もう暗くなるから実弥君のお家に泊まっていきませんか?帯刀してるし鬼も今は出ないけど、女の子一人で夜道を歩くのは危ないです!」

「急を要する怪我人も今はいねェだろ?部屋は何個か余ってるから泊まってけよ」

と二人から有難い申し出があったがしのぶには懸念事項がある模様。
困ったように微笑みながら悩み出した。

「お誘いは嬉しいのですが……私、全身が毛で被われてる生き物が苦手でして。確かお二人はサチというイヌを飼っていませんでした?」

まさかのしのぶの苦手なものに風音と実弥は顔を見合せ、何かを決意したのか頷き合ってしのぶに向き直った。

「サチは胡蝶に近付かねェように俺が捕まえといててやる。寝る時は基本的に俺らの寝室にいるから、胡蝶が嫌がることになんねぇだろ」

「サッちゃんはダメって言ったことは守れる賢い子なので大丈夫ですよ!それに実弥君が抱っこしててくれるなら、サッちゃんは喜んで大人しくしてるから!ね、泊まってって下さい!」

風音はともかくとして、いつの間にか押しの強くなった実弥に驚きつつもそこには敢えて触れず、キュッと握り締められていた風音の手を取って、そっと包み込んだ。
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