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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


「あらあら、気合十分ですね。名誉挽回も何も風音ちゃんは何も失態を冒していませんから。それよりも不死川さんからお話は聞いていますよ?何でも失血死しない程度にとか……」

それを目にしても動揺しないしのぶは見慣れているのだろう。
懇々と風音にこれからの研究で暴走しないよう言い聞かせており、風音は風音で冷や汗をかきながら何度も頷いている。

「風音さんの師範だった人……風柱は鬼を酩酊させるほどの稀血の人間で、その血を利用して鬼と戦うとか。風音さんも師範の戦闘法を真似て、体に傷を作って戦っているようですね」

「常軌を逸してますね。予知……でしたっけ?あの醜女の予知を使えばもっと楽に戦えそうですけど」

とは言っても目の前にいる少女は見た感じ普通の少女と変わりない。
特殊な血や能力はさて置き、普通に生活を営んでいた少女が鬼殺隊で生き残るためには手段を選んでられなかったのだろう。

「今は予知を自在に使えるようですが、鬼殺隊に入った当初はそうもいかなかったのでしょう。それより愈史郎、風音さんを今度醜女や低脳などと呼んだら怒りますよ」

「はい!珠世様!」

珠世に言われたことには素直に答える愈史郎。
そんな愈史郎に小さく溜め息を零し、今はこれからの研究についての話に移行した二人へと歩み寄った。

「先ほどは愈史郎が失礼致しました。風音さんの血液に関してはしのぶさんが作り置いていた物を確認させていただいています。毒の成分が変化し濃縮されるならば……」

本格的に研究の内容に踏み込んでも風音は呆然とすることなく、ちゃんと話についていっては意見を述べている。

しのぶから事前に聞いていた

薬作りが趣味

との情報は間違っていなかったようだ。
これで呆然としていたならば苦言の一つでも呈してやろうかと愈史郎は考えていたが、どうやら足手まといにはならないだろうと判断して口を噤んだ。



この日、久方ぶりに風音の血を採取したのだが、予想通り以前と比べると毒の濃度や成分に歴然とした差が出たらしい。
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