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涼風の残響【鬼滅の刃】

第21章 藤の花と全貌


「柱になる人は剣士の人たちより厳しい鍛錬を積んでいると聞きました。毎日欠かすことなく……辛いことや苦しいことで胸を痛めても、日々の鍛錬を行っていると。本当に尊敬してます」

「頭を上げてください!確かに柱の方々は皆さん強く優しく、努力を惜しまない方々です!でも私はまだまだ皆さんの背を追っている状態で……どなたにも……手合わせで……勝てたことがないですし」

尻すぼみに小さくなる声にこっそり笑い、青年は自信なさげに目を伏せた風音と向き合う。

「でもその背を追っている人から推薦してもらって柱になってるじゃないですか!自信もって下さい、ほら、この部屋で胡蝶さんが待ってます。必ずまた会いましょうね!」

柱に対してとっていい行動か分からなかったが、床から自分へと戻された翡翠石のような瞳のゆれ方がが少し子供っぽく見え、頭をポンと撫でた。

……青年より遥かに年下なのでそう見えるのも仕方がないのだろう。
しかも頭を撫でると嬉しそうに無邪気な笑顔を向けてくれるものだから、実弥がこの少女を可愛がる理由が少し理解出来てしまった。

「姐さんのことが大好きな兄さんにも、会えるの楽しみにしてますって伝えてて貰えますか?」

「フフッ、勿論です!お迎えありがとうございます。あなた方のような優しく尊い方々が穏やかな日々を送ることが出来るよう、全力で鬼と戦ってきます」

満面の笑みで戦うと言葉を発した少女が本当に鬼の頸を斬れるのか……と疑問に思うものの、少しばかりしのぶから教えてもらった風音の性格を思い出し、疑問は即座には消え去った。

だがそれを今本人に告げるのは野暮なのではと思い直し、背に手を当ててしのぶが待つ部屋の戸の前へと誘導する。

「姐さんが全力を出せるよう、俺も全力で皆さんを影ながら支えます!今度会う時は鬼がいなくなった世界です!姐さん、行ってらっしゃい!」

トンと背中を押された風音は笑顔で頷き返し、目の前の戸の取っ手に手を掛けながら振り返って手を振った。

「戦いが終わったら実弥君と会いに行きます。それまでどうかお元気で!行ってきます!」

「はい!楽しみに待ってますからね!」

その言葉を聞いた風音はようやく部屋の中へと足を踏み入れ、数秒後には戸が締まり姿は見えなくなった。
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