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涼風の残響【鬼滅の刃】

第20章 強化訓練と育手


「い、いえ!皆さんの作戦勝ちです!私が気を削がなければ捕まることなどなかったわけですし……むしろ情けない姿を晒してしまって情けないなぁって」

尻すぼみになる風音の声に益々剣士たちの心が罪悪感に痛み出す。

互いに気まずいまま顔を上げて数秒……

「おい、もう日が暮れちまうぞ。稽古終わってんなら……?お前らのその顔なんだよ?締まりねェっつぅか……その微妙な顔」

声の主はもちろん実弥。
その実弥は今日に限らず、毎日欠かさず風音たち……と言うより風音を迎えに来ている。

男剣士がいると言えど空が夕焼け色に染まり出すと色々心配なようだ。

変な輩に絡まれていないだろうかと急ぎ足でやってきた実弥の目に映ったのは、眉を下げて困った顔をしている柱と剣士たち。
理由を知りたくなるのも仕方ないだろう。

「それは……私、油断して捕まっちゃったんです。だから明日は他の柱の方のところへって言ったんだけど……遠慮してるみたいなの」

実弥は目を見開き剣士たちの姿を一巡する。
今まで風音が稽古や鍛錬、任務などで油断することなどなかったからだ。

「何がどうなって風音が油断する状況になんだァ?……お前ら、風音に何しやがった?」

険しい。
とてつもなく剣士たちを見る目が険しい。

風音は実弥に嘘をつけない。
だからと言って本当のことを言うと実弥の気が立ってしまうと分かっているので、何が起こったのかを話せないでいる。

「すみません!風音の気を逸らせるために嘘吐きました!サッちゃんが空飛んでるって嘘言って、空を見上げた風音を捕まえたんです!だから……明日から狡せずに稽古に打ち込む所存です!」

風音の性質を知っている勇が勇気を振り絞って発した言葉に、実弥は審議を確かめるため風音に歩み寄り顔を覗き込んだ。

もう黙ったままでいることなど出来ない。

シュンと眉を下げつつも実弥から目を逸らさず正直に答える。

「ごめんなさい……サッちゃんが空飛んでたら可愛いんだろうなって常々思ってて……つい。普通に考えれば有り得ないことだから、今回の件は私の落ち度です」
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