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涼風の残響【鬼滅の刃】

第20章 強化訓練と育手


ところ変わって夙柱稽古会場。

勇を始めとした牧野、あと三人の剣士、そして実弥が風音の前に一列に並んで待機している。
……と言っても柱と同じ列に並ぶことが憚られた五人の剣士たちは、一歩後ろに下がって風音を神妙な面持ちで見つめているのだが。

そんな柱を含めた剣士たちを前に満面の笑みの風音。

「皆さん、実弥君のお稽古の後でお疲れかもしれませんが、今から私のお稽古を始めます。内容は至って簡単、私一人を捕まえる鬼ごっこです。皆さんにも先の光景を送るので、それを参考に私の動きを予測し捕まえてください。では始めます!」

なんの前触れもなく先の光景が頭に流し込まれ、稽古が始まってしまった。

突然の稽古開始の合図に即座に反応できたのは実弥だけ。
既に柱二人は目で追うのがやっとな、恐怖すら感じる凄まじい速度で鬼ごっこを始めている。

「テメェらァ!ぼさっとしてんなァア!コイツは俺よりも先の光景見て動くのに慣れてんだぞ!柱なるからにはそれなりの理由あんだよ!さっさと動けェ!」

やはり実弥が参加することによって厳しい稽古が更に更に厳しくなってしまった。

「は、はい!てか風音速ぇ!こんなんどうやって捕まえるんだよ?!」

実弥に怒声を浴びせられ体を動かしたはいいものの、風音の姿を視界に映すのだけで精一杯な剣士たちは最早持久走のようになっている。

「慣れです!あとは持久力と身のこなしでどうにかなります!ほら、実弥君なんて……わわっ!私の羽織かすってますし!」

「クソッ!お前ら、風音を取り囲め!逃げ道塞ぐんだよ……モタモタすんなァ!」

実弥に羽織の裾を掴まれかけ、くるりとその場で回ってどうにか回避し両手を地面に着け高速後方回転で距離をとる。
その動きに着いていけるのはやはり実弥だけで、剣士たちは後手後手に回りいつまで経っても風音を取り囲むことが出来ない。

「嘘だろ……柊木さんってあんなに動けたのかよ!てか目のやり場困るって!全っ然ついていけないし!どこが楽しい稽古だよ!」

「愚痴ってる暇ないってば!視線は……常に風音の顔に固定しとけ!気にしてたらキリないぞ!」

キュロットパンツの中にズボンを履いていても、それがめくれる様に年頃の剣士たちは目を剥き、目のやり場が迷子となってしまう。
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