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涼風の残響【鬼滅の刃】

第20章 強化訓練と育手


「では行ってまいります!ここからだと伊黒さんのお家は少し離れてるから、もしかすると泊まり込みになっちゃうかも……えーっと、ご飯は今日の分まで準備して冷蔵器の中に入れてるのと、そのまま台所に置いてあるのがあるからね。あとは……」

「お前は心配事尽きねェなァ。飯含め家の事は俺もコイツらも自分で出来るから心配ねェって。それより自分の心配してろ。今日行って今日帰って来れるなんて思っちゃいねぇから、遅くなりゃ伊黒ん家泊めてもらえ。いいか?夜暗くなってから帰ってこようとすんなよ」

風音と実弥が手合せをしてから一週間が経過した。
やはり実弥の稽古を突破する者は現れず、風音は小芭内の屋敷へと旅立つこととなったのだ。

実弥の稽古から解放されるには実弥に一太刀入れる、もしくは地面に突っ伏させること。
簡単そうに聞こえるが簡単でないからこそ、現在こうして剣士たちは涙目になりながら風音を実弥と共にお見送りしている。

そして二人の遣り取りが少しでも長くなることを祈りながら見守っていると、もはや見慣れてきた二人の仲睦まじさを見せつけられた。

抱き寄せるまではさすがにしなかったが、自分たちには決して向けてくれない穏やかな笑みで風音の頭を撫で……そのまま流れるように頬を撫でたのだ。

「気を付けて行ってこい。伊黒の家にいりゃあ心配ねェと思うが、何かあれば楓を飛ばせ。すぐに駆け付けてやるから」

「はい!伊黒さんにしっかりみっちり扱いてもらって、強くなって元気に帰ってきます!お稽古とか手合せの様子、お手紙に書いて送るから読んでね?では今度こそ行ってきます。皆さん、場所は違うけれどお稽古一緒に頑張ろうね!」

行ってしまう。
実弥に優しい笑みを向けられ優しく頬を撫でられ、実弥だけでなく自分たちにも分け隔てなくいつも笑みを向けてくれる風音が……
しかしいくら名残惜しいと言えど引き止めてしまえば実弥の怒りを買うのは確実なので、まるで今生の別れかのように涙を全力で流しながら手を振った。

「行ってらっしゃいー!早いお帰りをお待ちしております!」

涙涙で見送られた風音が笑顔で去り背中すら見えなくなった頃……

「俺だけじゃ不満だってことでいいんだよなァ?特に立花ァ、俺はまだお前を許しちゃいねェ!扱き倒してやらァ!」

厳しい稽古は続く。
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