第20章 強化訓練と育手
「それと……今の技の威力はまぁまぁよかった。俺相手にしては及第点だァ。その調子で他の柱んとこで手合せして、稽古付けてもらって来い。俺も落ち着いたら一緒に行ってやる」
「嬉しい。実弥君、無知で迷惑かけちゃうかもだけど、一生懸命お勉強するし……あれだったらしのぶちゃんに聞いたり、奥様がいる天元さんに聞いたりしてみる」
とんでもない考えを持っている風音にギョッとする実弥。
それに気付かず風音は抱き寄せてもらっている胸元から笑顔を覗かせ、言葉を続けた。
「一週間後、様子を見て私のお稽古に辿り着く人が居なかったら、まずは伊黒さんのところにお邪魔してみるね!お稽古もだけど、手合せお願いしたい!」
それどころではない。
いや、稽古や手合せを敢行するために小芭内の元へ赴くのは一向に構わないし、風音の力量が向上するならば実弥だって推奨する。
しかし風音がしのぶや天元と偶然であっても遭遇してしまう前に言い聞かせるべきことがある。
「頼むから胡蝶とか宇髄に赤ん坊の授かり方なんて聞いてくれんなよ。胡蝶はともかくだ、宇髄なんかに聞いてみろ……逐一進捗状況聞いてきやがんぞ!」
「?そうなの?剣士の人たちには、色んな型で組み敷き合って赤ちゃん作るんだよって教えてもらったんだけど……その型が分からないし教えてくれないから……」
「ちょっと待てェ……お前にそんないかがわしいこと言ったの誰だァ?名前を一人残らず上げていけェ……」
実弥の頬に血管が浮き上がってしまった。
風音からすれば何故実弥が血管を浮き上がらせているのか分からない。
型と言えば呼吸の技しか思い浮かばない無知な剣士だからだ。
「いかがわしい……?よく分からないけど、勇さんとか前の合同任務で一緒になった剣士の人たちだよ。でも神秘的だよね、技を組み敷き合って赤ちゃんが授かるなんて。実弥君はどんな技が……」
ツッコミ出したらキリがない。
とりあえずよく動く風音のお口を手で押さえ、何かしらの好みを聞かれる事態を防いだ。
(立花ァ……帰ったら覚えてやがれ。風音に変な知識吹き込んだこと後悔させてやるよ)
今は不死川邸で基礎鍛錬を行っている勇。
実弥が帰宅次第、更に辛い稽古が付けられることは間違いないだろう。