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涼風の残響【鬼滅の刃】

第20章 強化訓練と育手


そう言い残し、風音は慌てて部屋から退散し、今日一日の疲れを洗い流すために風呂場へと駆けていった。



とんでもない行動を起こしかけた無意識理性吹き飛ばし機の風音を送り出して数分後、実弥はまだ風音の部屋にて精神統一を行っていた。

「アイツの暴走怖ぇ……即実践とか鬼狩りん時と同じじゃねェか。てか本って……どこで仕入んだよ。……えぇ、久々に欲しいもん見つかったかと思えばアッチ系の本だと?」

薬製作道具一式が畳の上に広げられているが、本当にそれだけ。
他は備え付けておいた箪笥があるだけで、風音の私物は目に見える範囲には見当たらない女子らしくない部屋である。

「いや……嬉しいかと聞かれりゃ嬉しいが……成人すらしてねェ女が買うもんじゃねェだろ。それよりも鏡台なり本棚なりねだれよ」

殺風景にさえ映る部屋は実弥が見回してももの寂しいが、やはりこの部屋は風音の部屋に違いなく、薬の匂いの中に風音の匂いがふわりと漂っている。

(……匂いに反応するとか俺もなかなか重症みてぇだ。この部屋……居心地いいが今の俺には毒だ。晩飯の準備もあるし、そろそろここから出ねェと)

いけない気持ちになってしまう部屋を再度見回した後、実弥はポリポリと頭を掻いて立ち上がり、風音が一生懸命下拵えをしてくれた夕餉が待機している台所へ向かうために部屋を出た。

「握り飯……はそのまま出しゃ問題ねェな。後は味噌汁と……筑前煮だっけか?それをあっためて茶を……っうお!」

何をしなくてはいけなかったかを頭の中で整理しながら歩いていると、突然目の前に二人の剣士が姿を現した。

その者たちは先ほど風音が胸を痛めていた人物たちであり、その表情は少し沈んでいるように見える。

「立花たちかよ。風音に用あんなら飯の時にしろ。アイツは今部屋にいねェ」

「あ……いえ、風音の様子が気になって。大丈夫ですか?俺の弟のことで落ち込んで泣いてないか心配で。俺の弟は確かに亡くなりましたけど、俺もその場にいたって話したでしょう?俺が弟を守れるくらい力があれば、風音を悲しませることなかった。それを謝りたくて……」
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