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涼風の残響【鬼滅の刃】

第20章 強化訓練と育手


「風音に……言いたくなかった。そうやって泣いてしまうって分かってたから。不死川さんにお願いして……教えてもらったんだ。君の父親のこと……勝手に聞いてごめん。あと、今から勝手に話しちゃうのも許して?」

口元から手が離された。
それは勇に言葉を返していいと……実弥が判断したからこその行動だった。

「謝らないで……下さい。私が謝らないといけないのに……弟さんを……お父さんが」

先の言葉は必要ないと言うように勇は首を左右に振った。
その後、許可を求めるように実弥を見つめると、実弥が頷くのを確認して未だに怒りのおさまらない剣士に視線を戻した。

「風音は丙の時に、下弦の弐だった自分の父さんの頸を自分の手で落としたんだぞ。自分の父さんの頸斬るために鬼殺隊入って、その為に強くなったんだ」

「そんなの当たり前だろ!自分の親の不始末は」

「黙って聞けよ。お前さ、風音と任務行ったことないよな?でも聞いたことくらいあるだろ?この子と任務に行ったら怪我すら最小限にすむって」

いつも笑顔の勇とは似ても似つかない痛みをこらえるような表情。
弟のことを思い出してもあるかもしれないが、どうもそれだけには風音だけでなく実弥にも見えなかった。

弟を殺されてしまった勇が何を言おうとしているのか……怒り狂っていた剣士さえも口をつぐんで耳を傾けた。

「人の未来が見えるんだよ、この子は。だけどその人が怪我をすれば同じ場所に同じ痛みを感じる。その人が死んでしまえば死ぬっていう制約付きのな。今はどうにか克服してくれたみたいだけど……俺たちと任務してる時は常に痛みと死と隣り合わせだったんだよ。それを承知で俺らを死なせないために未来みてくれてたんだよ」

知るわけがない。
可能な限り鬼殺隊内でも広がらないように本部や柱の間で情報を堰き止めていたからだ。
それをうっかり本人が勇や玄弥に漏らした訳だが、軽々しく他人に言いふらす者ではなかったので事なきを得ていた。

そんな信じ難い力が本当に有り得るのか。
それを確認するために剣士が風音を見遣ると……突然頭の中に風柱のものと思われる視点の光景が映し出された。
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