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涼風の残響【鬼滅の刃】

第19章 お薬と金色


たどたどしく若干勢い任せの返答をしてしまった自覚のある風音は冷や汗を流し、勢いよく下げた頭を上げられないでいる。

背後から笑いを堪えるような小さな声が漏れ出ているのがせめてもの救いだ。

「おい、夙柱。いつまで頭下げ……フフッ、んん……てんだよ。あまね様も困ってらっしゃる。会議の続きもあんだ、頭上げろ」

何故肝心なところで頭が回らなくなってしまったのだろう……と心の中で泣きながら、呼ばれ慣れない呼び名で呼ぶ風柱の顔を見上げた。

「す、すみません。改めまして……本日から皆様の少し離れた場所に僭越ながら身を置かせていただくことになりました……柊木です。及ばずながら精一杯務めますので、よろしくお願いいたします!」

「風音ちゃんは相変わらずだね!ハハッ、元気そうで安心したよ。離れた場所じゃなくってさ、同じ柱として頑張ろう!」

ちょうど真後ろにいた無一郎があどけない年相応の笑顔で肩をポンと叩いて緊張を解してくれた。
それに応えるため後ろを振り返り、笑顔に戻って肩にある手を握りしめる。

「はい!ありがとうございます!師範……実弥君のお話しでは私が柱に任命して頂いた後、先を見て皆さんとそれを共有……すると聞き及んでいます。でもそれは……きっと、いえ間違いなく皆さんの心に傷がつくものです。本当に共有してよろしいのでしょうか?」

再び斜め後ろへと体を向けて皆を見回すと、発案者である実弥はもちろん、その実弥から既に話を聞いていたであろう柱全員が迷うことなく頷き返し……てきてしまった。

あまね様もそれを止める気配がないので、満場一致で共有することが決定付けられていたようだ。

「風音、俺は君に命を救われた。そんな君に辛い現実を一人背負わせることなどしない。風音も傷付いてしまうのは心苦しいが、どうか共に先を見させてくれ」

「そうよ!同じ柱なんだもの!それに私もしのぶちゃんと風音ちゃん共同開発のお薬で救われてるのよ?楽しいことはもちろんだけど、辛いことも一緒に乗り越えよう!」

元師弟関係の二人の言葉に柱全員……いや、義勇を除く者が頷いた。

その義勇はと言うと立ち上がろうか……それともこの場に留まろうか悩んでいるように体を揺らしている。
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