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涼風の残響【鬼滅の刃】

第19章 お薬と金色


実弥が跪いて開いてくれた襖の中。
風音の目に飛び込んできたのは、張り詰めた空気を出しながらも笑顔で迎えてくれる柱たちと、何かの精霊ではと思うほどに綺麗な初めて顔を合わせる白い髪の女性の姿だった。

「お待たせ致しました、あまね様。こちらが俺の継子で本日をもって柱就任となる柊木風音です。風音、あちらの方はお館様の奥方のあまね様だ。ちゃんと挨拶しろ」

笑顔のまま固まっていた風音の背をポンと叩くと、弾かれたように深く頭を垂れた。

「し、失礼致しました。あまね様、お初にお目にかかります。風柱 不死川実弥様の継子の柊木風音と申します。柱の皆様、お久しぶりです。この度は若輩者の私をお認め下さりありがとうございます。柱として誠心誠意……」

「長ぇ……いつまでもあまね様をお待たせすんな。ほら、前開けてくれてんだからそこ座れ」

お館様不在によるあまね様出席に加え、全柱集結した場に戸惑いと緊張で風音の中は埋め尽くされている。
それ故に長々と挨拶をしてしまった風音の思考を一度白紙に戻すために実弥が背を押してやると、不安げに瞳を揺らせておずおずと立ち上がった。

そして実弥の後に続き部屋の中へ腰を下ろし再び頭を下げる。

「お待たせしてしまい申し訳ございません。改めまして風柱様の継子 柊木風音と申します。あまね様、どうぞよろしくお願いいたします」

「初めまして、柊木様。私共こそ申し訳ございません。本日は当主である産屋敷耀哉の体調が優れず、私が代理をつとめさせていただいております。どうかお顔をお上げください」

綺麗な高く優しい声音で紡がれた言葉に風音の心臓が早鐘を打った。
それでも顔を上げないわけにはいかず、ゆっくりと姿勢を戻してあまね様へと視線を移す。

お館様の体調が優れないのならば心配で仕方がないはずなのに、あまね様の表情は凛としていて、あまりの気丈さに風音の方が胸に痛みを覚えた。

「謝罪だなんて……私に必要ございません。お館様……ご病気なのですか?私、お薬を作れますので……出来ることがあれば何でも仰ってください!師範、お館様の病状は……」
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