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涼風の残響【鬼滅の刃】

第19章 お薬と金色


実弥の話を聞いていないので今はまだ風音は答えを出すことが出来ないが、色々考えた末に時間を与えてくれる実弥に反抗する気も起きず小さく頷き返した。

「はい。かしこまりました。師範、今はまだ師範の継子なので……警備中は師範と呼ばせていただきますが……もし私が柱になった時は……不死川さんって呼んだ方がいいですか?」

「なんでそうなんだよ……別に柱同士になりゃあ階級もクソもねェんだからいつも通り呼べばいいだろォ……他の柱のことも名前で呼べばいい」

呼び方が退化してしまうことをどうにか防ぐと、悩み頭を傾げる風音を放置して男たちに向き直る。

「おら、お前らもとっとと帰れ。まァ……なんだ、長い時間拘束しちまって悪かった。これからは馬鹿なことしてねェで親兄弟を大切にしてやれ。居なくなっちまってからじゃ後悔すんぞ」

やけに胸にストンと落ちる実弥の言葉に全員が悲しそうに眉をひそめた後、本来持っていたであろう眩しいくらいの笑顔をたたえて立ち上がった。

「分かりました!俺、兄さんや姐さんを陰から支えられるような何かを探ってみます!親父もお袋も命の恩人へ何かを返したいって今でも言ってるくらいなんで!これは俺の意思なんで、兄さんと姐さんが止めようと無駄ですよ!じゃ、お二人共お気を付けて!」

夜中なのにそんなに騒いでいいのか?
と思うほどに賑やかに男たちは手を振りながら去っていく。

陰からってどうすんだよ?
え……何かあるだろ。小さい組織じゃないっぽいし……ほら、ご飯を提供する係とか!
聞いとけよ!
自分で探らなきゃ意味ねぇだろ!

そんな言葉が二人の耳に届いた。

彼らが望むものはきっと

藤の花の家紋の家

のような役割だろう。
しかしある程度の広さのある屋敷を持っていないと、任務帰りになだれ込んでくる剣士たちを受け入れられないし……その他諸々も入り用となってくる。

「師範。藤の花の家紋をいただくのって何か条件あるんですか?」

「あ"ぁ"……俺も詳しく知らねェ。ったく、踏み込むなっつってんのに聞きやしねェなァ。とりあえずそんなホイホイいただけるもんでもねェだろうから、ほっときゃいいだろ」

静かな街に明るい声を響かせる彼らに風音は手を振り返し、実弥は僅かに笑みを返して、次の警備先へと足を向けた。
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