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涼風の残響【鬼滅の刃】

第19章 お薬と金色


「あのー、私の尊敬する強くて誰よりも優しい大好きな師範は、貴方たちのお仲間に倒されるほど弱くありませんよ。私を師範から引き離して何をしたいのか知らないけど……力尽くで連れ去ってみますか?」

高くよく響く声は距離を詰めてきていた男たち全員に漏れなく届き、肩をビクつかせた。

そしてブツブツと何やら呟いている。

どこから情報が漏れた
生意気な女だ
望み通り力尽くで
……てかさりげなく惚気けてなかったか

などなど。

そんな男たちのヒソヒソ話を耳にして暫く。
力尽くで連れ去ってしまおうと話がまとまってしまった。

「私も貴方たちに簡単に負けるほど弱くないと思いますが……」

よからぬ輩に体を触れられるなどたまったものではないと、風音はその場で強く地面を踏み切り屋根の上に飛び乗った。

街中でこれほど身軽に動ける少女などいるわけもないし、そもそも人が屋根の上に軽々と飛び乗ることなど出来るはずがない。

信じ難い目の前の光景に男たちは驚き固まり、ニコリと微笑む風音を呆然と見つめた。
そんな言葉をなくした男たちに代わり、風音は騒がしくないほどの声で警告する。

「師範の担当地区で人を傷付けるようなことしないで下さい。人が人を傷付けるなんて良くないって知ってるよね?貴方たちの顔、覚えたから。次に同じようなことを……危ないから刃物は投げない方がいいですよ?……聞く耳持たず」

先を見て警告したのに、男の一人が懐から取り出した短刀を風音に向かって投げつけてきた。
人の男が投げる物の速さなど上弦の鬼の攻撃に比べれば止まっているも同然だ。

キン

と金属がぶつかり合う音が響いた直後、風音に向かっていたはずの短刀は投げつけてきた男の足元に突き刺さる。

「その短刀……狙った場所に突き刺したって分かってますよね?これからも改心することなく同じことを繰り返すつもりなら……あ、懺悔の時間が……」

見晴らしのいい屋根の上にいる風音に見えたのは、凄まじい速度でこちらに向かってくる一つの人影。
土埃の昇り具合からどれほどの速度で、どれほどの怒りをこめてこちらに向かってきているのか嫌でも理解出来てしまう。
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