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涼風の残響【鬼滅の刃】

第3章 能力と剣士


「はい。父が昔に教えてくれたので、長い時間お薬を作り続けられるように日々繰り返し練習しておりました。あの……お館様は私の父をご存知なのでしょうか?不死川さんからのお話しですと、父は鬼殺隊の剣士だったはずだと教えていただきました」

質問に答えて質問を返すなど失礼に当たるのでは?と思いながら発した言葉に、お館様はもちろん実弥からも咎められることはなかった。

それに安堵したのも束の間、お館様が頷いたのを目にして風音の緊張が高まった。

「柊木功介。風音のお父上の名前は功介で間違いないね?」

「は、はい。柊木功介は私の父の名前です。やっぱり……父は鬼殺隊の剣士として鬼を倒していたのですね。それで鬼に……」

殺されてしまった。

何となく二人の今の雰囲気から父親が生きてはいないと理解出来た。
お館様の表情も実弥の表情も、功介が父親だと風音が言った瞬間に沈痛な面持ちになってしまったからだ。

「風音、鬼がどうやって生まれるか知っているかい?」

よく分からないお館様の質問に首を傾げる。
鬼が生まれるなど鬼が鬼を産む以外考えつかない。

「いいえ。ただ人と同じように生まれると思っておりました……えっと……違うのでしょうか?」

「鬼は元々人間だ。鬼舞辻無惨っつう鬼の血を体内に入れられたら、死ぬか鬼に成り下がっちまうかのどっちかだ。生まれつき鬼なんてモンは存在しねェ」

想像すらしていなかった事実に驚愕し風音の頭の中が真っ白になった。
その後、どうしてそんな事実をわざわざ自分を呼んで教えてくれたのか……を考えて心臓が胸を突き破らんとするように激しく打ち始める。

「人間が鬼に……される。それは望んでも望まなくても……血を入れられると鬼に……人を喰べる鬼になってしまうということでしょうか?」

二人が何を言わんとしているのか察しているであろう風音に、お館様は沈痛な面持ちで頷いた。

「そうだね。望んでも望まなくても、鬼舞辻無惨の采配一つで決定されてしまう。鬼になることを拒んだとて……血を入れられてしまえば抗えないんだ」

今話しているのが実弥だったならば、耳を塞ぎ先の話を聞くことを拒否していたかもしれない。
しかし目の前にいるのは実弥の尊敬するお館様。
……そんな不敬は働けなかった。
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