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涼風の残響【鬼滅の刃】

第18章 境内と家族


「宇髄……テメェは本っ当に空気読まねェなァ!何で俺がテメェを慰めなきゃなんねぇんだよ!てか冨岡ァ……テメェも勝手に俺ん家入ってんじゃねェ!」

ゴツい天元の腕を振り払い、今し方屋敷内に入ってきたであろう二人を睨めつけると、天元にはいつも通り軽くあしらうかのごとく笑って誤魔化され、義勇に関しては心外だと言うように驚かれた。

「俺は宇髄に無理矢理連れ込まれただけだ。そうでなければ(いくら不死川と仲良くなりたいからと言って、火急の用もないのに勝手に)不死川の家に入るなどしない」

相変わらず絶妙な言葉足らずを発揮した義勇に実弥は怒り心頭。
額から頬だけに留まらず、首元にまで血管を浮き出させ目が血走る。

「いい度胸してんじゃねェかァ……表出ろォ!今日こそぶちのめしてやらァ!風音、木刀持ってこい!」

オロオロしている義勇と実弥の剣幕に驚き風音と無一郎の涙が一瞬で止まってしまった。
その様子を可笑しそうに笑う天元に助けを求める視線を向けるも、笑っているだけで動いてくれない……

それならばどうにか自分で実弥の怒りを鎮めなくては……と、振り返って怒りで震える実弥の手を両手で包み込んだ。

「えっと……実弥君。冨岡さんは『急ぎの用事もないのに勝手に実弥君の家に飛び込んだりしない』って言いたかったんじゃないかな?実弥君に叱られてしょんぼりなっているように見えるし……表で手合せしたらご近所さんビックリしちゃうから、木刀は持って来れないよ」

「あ"ぁ"?もしそうだったとしても俺に聞こえた言葉はあれだけなんでなァ!……おい、冨岡ァ。何風音の後ろに隠れてやがる」

自分の言いたかった言葉を正確に代弁してくれた風音は、義勇にとって正に助け舟。
その通りだと言うように風音の羽織を握り締め何度も頷き、どうにか実弥の怒りがおさまるのを固唾を呑んで待っている……

「不死川、絆されるな……と言ってやりたいところだが、柊木に免じて今回のみ見逃してやれ。不死川と冨岡が表で打ち合って柊木が悲しめば本末転倒だろう」

そこへ成り行きを門から見守っていた小芭内がやって来て実弥の肩をポンと叩き、蜜璃は怒り狂う実弥に意見を伝えた風音の頭を撫でてやっている。
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