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涼風の残響【鬼滅の刃】

第18章 境内と家族


(ーー?!外だぞ?!こんなとこ誰かに見られでもしたら……って俺ん家だから問題ねェ……のか?あぁ……あったけェ。……背中も……)

ずっしり
と背中に重くも暖かなものが覆いかぶさっている。
現在風音の胸の中で抱きすくめられていたとしても、妙に柔らかな背中の者が理性を嫌でも引き出させてくれる。

「フフッ、ワンちゃんも実弥君が心配みたいだよ?くっついて離れないし」

「……重てェ。コイツのお陰で色気もクソもなくなっちまった。まァ……けど、いいもんだなァ。ここ、すっげェ落ち着くわ」

実弥とて可愛がっていたシナがいなくなるのは寂しかった。
天寿を全うしたので風音ほど落ち込むことはなかったが、当たり前にいた者がいなくなるのは寂しい。

とりあえず風音が落ち着いてから一人心の整理を付けようかと思っていたのに、こうも暖かなものに包まれるとその必要はなくなるというもの。

「だがなんか落ち着かねェ」

いつもと逆の状態に癒されつつも、恥ずかしいやら何やらの感情が実弥の体を起き上がらせ、何故か実弥の背中に張り付いていたイヌを風音の胸の中におさめる。

「実弥君が離れちゃった……もう少しギュッてしていたかったな」

大人しく抱っこされたままの犬の頭に顔をうずめ涙目になる風音の背後に周り、寂しそうな背中を抱き寄せた。

「これなら寂しくねェだろ。俺はもう十分だ、無理せず今のうちに泣いちまえ」

あともう少し癒しが必要だった風音は小さく頷き返し、そのままの状態でハラハラと涙を零した。



「こ、恋柱様に蛇柱様。俺たちはいつ中に入ればいいんですかね?!と言うか本当にあれは風柱様なのでしょうか?!あんな穏やかな表情……見たことなかったんですが」

不死川邸の門の前。
買い物を済ませた村上が門をくぐろうとすると、襟元を物凄い力で引っ張られ外へと強制退場させられた。
誰かと思って仰ぎ見ると、そこには必死の形相で自分を睨み付けてくる蛇柱である小芭内と、満面の笑みながら頬を真っ赤に染めた恋柱である蜜璃が佇んでいたのだ。
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