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涼風の残響【鬼滅の刃】

第17章 芸術と嘘吐き


暫く抱え上げられたまま運んでもらっていたが、怪我の手当も終わり、何より玄弥たちがいる前でこの格好は如何なものかと二人して思い至ったので、途中からは下ろしてもらって目的地へと急いだ。

木々の間からは朝日が差し込み、随分と長い時間戦っていたのだと分かる。

そんなことを考えながら辿り着いた先。
この里の中に残る剣士や刀鍛冶が全員勢揃いしていた。

皆怪我を負っていて処置が必要だと順に視線を巡らせ……ある一人の少女に釘付けとなった。

「え?禰豆子さんって鬼……になってたよね?」

「あぁ……どうなってんだァ?朝日浴びても崩れてねェじゃねェか」

鬼の弱点の一つである太陽の光の下、笑顔で佇んでいる禰豆子の姿に二人は呆然と立ち尽くす。
そこへ走り寄って来たのは柱である無一郎と蜜璃。

「二人とも無事でよかった!なんか炭治郎の妹、日の光を克服したみたいだよ?どうしてだろうね?」

「なかなか来ないから皆で迎えに行こうかって話してたところだったの。私も禰豆子ちゃんがどうしてこうなったのかは分からないんだけど、可愛いからいいよね!」

どうやら二人にもなぜ禰豆子が日の光を克服出来たのかは分からないらしい。

風音たちより長くこの場にいた柱の二人が分からないならば、風音たちにも分からない。
実弥はともかくとして、禰豆子をいたく気に入っている風音にとっては喜ばしい現状。

この現状に笑みを零して二人の手を取った。

「ご心配おかけしてすみません。私も皆さんが無事でホッとしました。禰豆子さんを愛でたい気持ちは山々ですが、先に皆さんの手当をしましょう。お薬も包帯も……針も糸もたくさんあるので私にお任せあれです!どなたから……」

一番酷い怪我をしているのは誰か探し出そうとした矢先、炭治郎に押し出されるように玄弥がズイと風音の前へ飛び出してきた。

「玄弥の怪我の手当てを先にしてやってくれ!たくさん頑張ってくれたから怪我も酷くて!俺は時透君たちと禰豆子について話しておくから!あ、不死川さんは風音の側にいてあげて下さいね!もし何かあったら大変ですので!」

何かが起こるなど有り得ない。
そう実弥が反論しようとしたのに、口を開いた時には既に皆は向こうへ歩き去ってしまっており、この場には風音と実弥、そして玄弥が残されてしまった。
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