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涼風の残響【鬼滅の刃】

第17章 芸術と嘘吐き


「痣ァ?!あぁ……そうかィ。だが話は後だァ……ぉい!芥ァ、いい度胸してんじゃねェかァ!ぶち殺してやる……そこ動くんじゃねェぞォ!」

「待って、実弥君!お薬……」

絶対に触れてはいけない実弥の逆鱗に分身は触れてしまった。

実弥を想う風音の行動を逆手に取り、実弥に全攻撃を仕掛けておきながらも本当の狙いである風音に致命傷を負わせる攻撃を仕掛けた。

謀り偽り、人の想いを踏み躙る分身の行動が目に入った瞬間、怒りから血が沸騰しているのではないかと思うほどに体が熱くなった。
それに伴い鼓動も通常時より遥かに速く胸を打ち、雷による痺れなど感じる間もなく風音の体を追いかけていた。

その体の異常とも言える変化は今も続いており、風音の言葉であってもおさまりそうにない。

辛うじて無事だった風音を地面に置き去りに、実弥は忌々しげに顔を歪める分身が放つ血鬼術や龍を全て斬り伏せ、本体へと尋常ではない速度で間合いを詰めて行った。

「醜い鬼は俺が殲滅してやらァ!風の呼吸 壱ノ……」

「夙の呼吸 弐ノ型 吹花擘柳」

あと一歩、あと一歩足を踏み出せば分身の体に刃が届くというところで菊の描かれた羽織が目の前ではためき、代わりに分身の体へと斬撃をくらわせた。

「ねぇ、私、さっきの返事まだ聞いてないんだけど。奇襲が失敗に終わった気分。あと……今、私を戦闘不能にしようとして失敗した気持ちもさ、ついでに教えてくれない?あとは柱である師範を怒らせて痣出させて……圧倒的不利になった気持ちも知りたいなぁ」

こんな煽り……実弥は教えてない。
戯言聞く前に頸を斬れと教えてきたので、そもそも煽りなど実弥の戦法に必要ないからだ。

「しつこい小娘が……ゴホッ、教えてやる義理が」

「夙の呼吸 陸ノ型 紗夜嵐」

と思えば分身が言葉を返す前に技を放ち吹き飛ばしてしまった。
しかも先ほど実弥に助言してもらった通りに速度を増していたので、威力は数倍に膨れ上がっている。

「教えるつもりないなら喋らなくていいよ。あぁ、そうそう。日輪刀に私の血をたっぷり付けておいたから、ちょっと大人しく待ってて」
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