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涼風の残響【鬼滅の刃】

第3章 能力と剣士


分かりきっていた返答だったのに、置いてやることが出来なくなる……という言葉に風音の胸が激しい痛みを伴った。
だがいつまでもメソメソしていても実弥を困らせるだけだと、滲み出そうになる涙を引っ込めてキリッと眉を上げた。

「見ないで後悔して泣いてたお母さんを私は見ました……私も見ないで後悔したくないけど、実弥さんのお仕事の邪魔もしたくない。……出来る限り見ない努力はします!あとは……私が強くなって実弥さんを守ります!先に倒して実弥さんを死なせません!」

今はまだ太刀筋ですらブレブレで刀すら握ったことのない風音の大きな決意に、実弥は小さく息を零してニッと笑い頭をクシャリと撫でた。

「気合い十分じゃねェか。俺を助けるより前に自分の先を見て対処方法考えろ。鬼の動きとか……」

「あ、自分の先は見えないですよ?あとは……たぶん鬼の先も見えないです。あの鬼の先が見えていたら……と思うと今では身震いしかしないけど」

先を見る力にも色々と制約があるらしい。

ブルリと身体を震わせた風音の頭に手を置いたまま、教えてもらった情報を頭に巡らせる。

(自分のは見えねェのか……コイツの鬼狩りには役に立たねぇけど、柱になら試してやれっかァ?……見んなっつったが、まずは俺のンを見せて……どんなのか知る必要あるわなァ……)

いきなり静かになった実弥にキョトンとする風音を真顔で見つめ返し、落ち着きを取り戻し元気になった風音を体から離した。

「今のお前ならどのくらい先まで見れんだァ?んで、見たい時間をお前で調整出来んのか?」

「見ようと思えば今なら1日後くらいまででしょうか。時間は調整出来るけど……細かいところまでは意識したことがないから分からないです」

風音は自分の手を見つめ首を傾げる。
あの村にいる間は使う必要がなかった……むしろ母親に使うことを止められていたのだろう。

自分と同じように化け物扱いされることを避けさせるために。

そのため母親に聞いたことや昔に試してみた経験、あとは今日の朝方に実弥の先を見ることにより体感した経験則が風音の今持ち得る情報だ。
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