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涼風の残響【鬼滅の刃】

第3章 能力と剣士


「私の力は未来を見たい人の肌に触れること、見ようとする私の意思が発動の条件です。私はまだまだ未熟なので力を使うと眠ってしまいますが、ある程度慣れると眠気は我慢出来る程度にまで落ち着く……らしいです。でも……先を見る……と言うより……」

未だに実弥の背中に腕を回しながら胸元に顔を填めている風音の言葉が詰まった。
言いづらい事があるのだろうが、鬼殺隊で役に立てたいならば聞く他ない実弥は、落ち着かせるように細すぎる背に腕を絡めて苦しくない程度に自分の体に寄せる。

「ゆっくりでいい、先を見ると言うより……何だァ?」

「……はい。えっと、先を見る人が経験するであろうことをその人と共に身を持って経験する……というものです。つまり、先を見る対象の人が大怪我をしたり瀕死の重傷を負えば、私の体に怪我などは出ないものの、痛みや苦しみを共に味わいます。なので、その人が死んでしまったなら最悪の場合……私も死に至る可能性が高いです」

そんな危険な能力をどうやって活かさせてやればいいのか……実弥はその答えを持ち合わせていなかった。

鬼殺隊はただでさえ任務で傷を負ったり、命を落とすことさえ頻繁に起こり得る組織である。
ただ先を見れるだけならば活用方法はいくらでもあったが、ミル物に対する代償が大き過ぎる。

「……何でお前の母ちゃんが父ちゃんの任務前に先を見なかったか……それで合点がいった。見なかったんじゃなくて、父ちゃんが母ちゃんに見せなかった……そうだなァ?」

胸元に顔を埋めていた風音が顔を上げて実弥の瞳を見つめて小さく頷いた。

「たぶん……そうだと思います。実弥さんと出会って分かったことですけど、お母さんがお父さんの死んでしまう未来を見て伝えたとしてもお父さんは任務に行くことをやめなかった……というのも見なかった理由の一つかと。実弥さん、私が実弥さんの未来を見て『任務に行かないで』って言っても任務に行くことを止めないでしょ?」

「止めねぇな。泣き叫ばれても俺のやるべき事を疎かにするなんて有り得ねぇからなァ。…… 風音、俺の先なんて見るんじゃねぇぞ。見たとして……任務を妨害するなら俺ん家に置いてやることはできなくなる」
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