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涼風の残響【鬼滅の刃】

第16章 里と狼煙


「動き出したら早ェなァ……なら俺も柔軟すっから、朝飯の前に手合わせ願おうじゃねェか。最近手合わせはあんましてなかったからなァ、全力で相手してやるよ」

懸命に柔軟に勤しんでいた風音の動きが、実弥の言葉と意味深な笑顔によってピタリと止まった。

実弥と共に行うことは基本的に何でも楽しいはずの風音の顔には冷や汗が大量に流れている。

「あ"?何止まってんだよ?予知使えばどうとでもなるだろうが」

「予知を使えても実弥君の動きに私の体がついていくかは……別問題だからね。本気で血反吐吐いちゃうから。今までの手合わせで血反吐吐かなかったことないの覚えてるよね?」

どうやら風音であっても実弥との手合わせはとても厳しく、思わず尻込みするほど激しいもののようだ。
実弥自身より遥かに小柄で細身で好いた少女であったとしても、鬼殺隊の剣士には容赦がないらしい。

もちろん実弥は敢えてしていることなので、いくら風音が尻込みしようとも聞き入れるつもりはない。

「それ言って俺が引くと思ってんなら目出度い頭だなァ!恨むんなら鬼殺隊抜けろって俺が言った時に抜けなかったお前自身を恨むこったァ。おら、時間勿体ねェ!さっさと柔軟終わらせろォ!」

先ほどまでの穏やかな時間はどこへやら……
今や実弥の表情は般若のそれと化し、柔軟をちんたら行おうものなら怒号がこの家中に響き渡るのは確実だろう。

それは是非とも風音としては避けたい事態なので、ほんの少し涙目になりながら柔軟を続ける道を選んだ。

(血反吐……は嫌だけど……鬼舞辻無惨に狙われてるんだから強くならないとだもんね!よし、全力でぶつかって叩きのめされよう!幸いにも傷薬はたくさん作ってるし。昨日の私、いい仕事したね!)

実弥が布団から起き上がって着替えを行う傍らで、涙を浮かべていたはずの風音が今度は笑顔になった。
長い月日を共にしている実弥からしても風音が笑顔になる事柄が何なのか分からない時がある……

血反吐を吐くのが嬉しいのか?と身震いするも、自分との手合わせを最終的には受け入れ嬉々として準備を行う姿を見れるのは嬉しいものだ。

風音につられるように笑顔になると、実弥も柔軟を行い二人仲良く?手合わせを行うために部屋を後にした。
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