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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


「結果的に俺の紐取る前にお前が寝ちまったから詫びも何もいらねェよ。まァせっかく作ってくれたんなら食う。お前も体調いいんなら一緒に食おうぜ」

「あ、うん!それならよかった……実弥君は居間で待ってて?お味噌汁とお漬物だけだから一人で運べるので。すぐに持っていくね」

無事に笑顔となった風音に笑みを返すと、実弥は言われた通りに居間へは向かわず盆の上に湯呑みやら急須を用意してお夜食の準備を進めた。

警備帰りで申し訳なく思うものの笑みを浮かべたまま準備をしてくれているので、風音は嬉しそうに笑みを深めながら準備を済ませた。





「夜中にご飯とか背徳的だけど何かいいね。実弥君とは何してても楽しいし嬉しいから色々満たされる」

二人で片付けを終わらせ暫し歓談の時間。
と言っても風音が一方的にじゃれついているだけなので、実弥は寛ぎながら身を委ねてくる風音の話を聞き返事をしているだけだ。

「そうかィ。経済的で何よりだなァ。その内任務すら楽しいとか言われ出したら俺はどうしてやったらいいか分かんねェけど」

「任務は流石になぁ……任務と言えば時々考える時があるの。鬼の頸は何があっても斬るんだけど、その鬼の身内の人が近くにいたら少し怖いなって。どんな言葉をかけて、どんな言葉が返ってくるんだろう」

まだ風音はそう言った現場に幸か不幸か遭遇したことがない。
だからこそ考えるし、ふとした時に悩んでしまう。

変わらずの柔らかな雰囲気を風音は纏っているが、ほんの少し瞳を翳らせたので実弥は頬をふわふわと撫でて頭に自らの頭を預けた。

「いい言葉が返ってこねェことも多い。俺はあんまり気にならないが…… 風音は気にしちまうんだろうなァ。けど迷うな、その鬼を倒して傷付くヤツもいるのは確かだが、倒すことによって救われる命が必ずある」

頬を撫でてくれる優しい力や、その頬や頭に伝わってくる心地良い温かさに目を細めた後、風音はそっと実弥の胸元に顔をうずめに行く。
それを実弥が拒むはずもなく肩に腕を回して体を寄せてやり、剣士として思い悩む風音の背を撫でた。
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