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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


「ありがとうございます!では私は実弥君と一緒に寝てもらう時間を死守するためにあちらへ向かいます!また後ほどです!」

……二人が返事をする暇すらなかった。
持ち前の速力で散り散りに逃げようと動き出した剣士たちの前に立ち塞がり、既に数個の袋を地面へと叩き落としてはせっせと袂に詰め込んでいる。

「俺から出した条件とは言え……あんだけ必死になられると罪悪感湧くわ」

「あまり虐めてやるな。柊木は柊木で不死川と共に過ごすことで消化していることがあるのだろうからな。まぁ……成長させるには不死川が出した条件が一番効き目があるのだろうが」

眉根を寄せる実弥を横目に自分なら好いた女子に同じものを課すことが出来るだろうか……と考えるがやはり出来そうもないとかぶりを振った。

「力尽きちまったから仕方なかったとは言え、他の男に抱きかかえられてんの見たらザワついちまうんだよ。だからこうして必死になってるの見たくなる。んでその姿見て求められてんだって分かると……可愛いって……思うんだよ!悪ィかよ?!」

「ゴミカスに狙われた時の話か。悪いとは言っていない。ただそんなことをしなくても柊木は不死川に着いて回っているではないか。それだけでは……悪かった、十分ではないのだな。不死川にとって」

今までせっせと剣士たちの腰に携えた袋を集めている風音に視線を向けていたので分からなかったが、何やら切羽詰まった声音につられて実弥を見ると、顔を真っ赤にして地面を睨みつける姿が小芭内の瞳に映った。

その姿がいつもの実弥らしからぬもので、ほんの少し呆れながらも親友を励ますように肩をポンと叩く。

「クソ……憂さ晴らしに剣士どもを叩きのめしに行く。伊黒もしっかり叩きのめしてこいよ!」

「ん?あ、あぁ。言われるまでもない、そこは心配するな」

小芭内の頼もしい?返事に機嫌をよくした実弥は最後に風音の姿を脳内に焼き付けて……森の中へ残りの剣士たちを狩りにいった。

……開始から二時間で半数以上の剣士の袋が奪い取られ、実弥や数人の柱が機嫌を悪くしたのは言うまでもない。
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