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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


「いえ!私こそ私の事情をぶつけてしまってごめんなさい。玄弥さんのお陰様で少しすっきりしました!またお時間ある時に手合わせしようね」

物悲しい雰囲気は一瞬で吹き飛び今度は満面の笑み。
年頃の少女と向かい合って手を握り合う……しかも満面の笑みを向けられながらなどあまり経験のない玄弥は慌てて手を離し、くるりと後ろを向いて脱落者が身を寄せあって涙を流している場所へと移動していった。

その後ろ姿を手を振って見送る風音の頭がふわりと暖かい何かに包まれる。
何がそうしたのかなど考える必要もなく、風音はその暖かさに身を委ねた。

「あんま他の男とくっついてんじゃねェよ。お前、まだ三人しか叩きのめしてねェんだからさっさと行くぞ。言っとくが一緒に寝ないってのは覆すつもりないからな」

「玄弥さんだから問題ないよ。……課題はこなすから一緒に寝てほしい。今日一人ぼっちで寝たら寂しくて悲しくて泣いちゃう自信しかない」

泣くとわかっていて万が一課題をこなせなかった時に突き放すことが出来るのかは分からないが、今そんなことを考えても仕方がないので、実弥は風音を伴って小芭内の近くまで歩み寄っていく。

「伊黒さん、お待たせしました。私事に付き合わせてしまって……あと……これからの任務、お邪魔してしまうと思いますが精一杯つとめますのでよろしくお願いいたします」

実弥に抱きかかえられたままの頭をぺこりと下げると、小芭内は穏やかな笑みを浮かべて首を左右に振った。

「俺が勝手に様子を見に来ただけなので気にする必要はない。任務も事情は既に本部から聞いている。柊木が気に病むこともないし、負い目に感じることもない。それよりいいことを教えてやる。あそこ……剣士たちが無防備にわんさか集まっている。課題をこなすにはうってつけではないか?」

実弥から風音に出された課題は何か知らないが、実弥が出しそうな課題なら何となく想像がつく。
そして微かに聞こえた二人の会話から、その課題をこなせなかった時に風音がとても癒されている事柄をお預けされるのだとも分かった。

癒しを求めている風音にそれは酷だと考えて言った小芭内の言葉にやはり風音は目を輝かせ、嬉々として木刀を握り直した。
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