第15章 豆撒きと刀
「わわっ!すごい!これが風音ちゃんがいつも見てる光景なのね!でも……慣れるまで少し戸惑っちゃうかも」
可愛らしい声で戸惑いの声を上げるのは蜜璃。
戸惑っているもののやはり的確に剣士たちの技を弾き飛ばしては腰の袋を地面に落としているのだから、先の光景を送る風音の方が追いつかないくらいである。
「おい!情報途切れてんぞォ!混乱するからしっかり送り続けろ!」
「す、すみません!私の頭の中の処理が追いつかなくって……えっと、まず師範から順番に慣らしていきます!一分ごとに一人ずつ増やしていくので少し時間を下さい!」
「次は俺にしてくれ!ヤベェ!派手にいいじゃねぇか!慣れさえすりゃあ鬼と戦う時有利に動けんぞ!」
「宇髄、少し静かにしてやれ。柊木が集中出来ないだろう。柊木、落ち着いてゆっくりして構わない。先ほどまでのものでも俺たちには十分な情報だ」
蜜璃に始まり天元や小芭内には好感触のようだ。
風音自身は慣れるのに数ヶ月かかったのに……柱の適応力は半端ない。
「皆さん、ありがとうございます。次は天元さん……少しお待ちを!夙の呼吸 壱ノ型 業の風」
守ってもらうばかりではなく、対処出来るものは自分で対処する。
そして悲痛な剣士の叫びが響いては風音の罪悪感を刺激する……
「テメェら、片手間で技出すコイツにやられんなァ!今風音に袋落とされたヤツ、しっかり顔覚えたぞ!後日の地獄の鍛錬楽しみにしてやがれェ!」
(ごめんなさいごめんなさい!私が余計なことをしたばかりに!私も鍛錬付き合うから許して!)
地面に崩れ落ちた剣士に心の中で必死に謝罪を繰り返しつつ、徐々に見えたものを柱全員へと行き渡らせた。
「はぁ……皆さん、少しずつ離れていただいて大丈夫かと思います!これからは……私も全力で反撃に移り……」
ふわりと体が宙を舞った。
何が起こったのかと風音が顔を上げて確認すると、無一郎が無表情で体を抱きかかえて剣士から放たれた技から逃してくれているところだった。
「時透さん、ありがとうございます」
「……別に。何となく一番弱い子を狙う人たちが無様に見えたからこうしただけだし。下ろすよ?」
「はい!私も油断していたので気を引き締めていきます」