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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


柱側……つまり鬼側の準備が整い数十分後、風音はいたたまれない気持ちになりながら豆撒き?の開戦の狼煙を上げる天元の声を、大勢の剣士たちの前に立って聞いていた。

「知ってる奴もいると思うが嬢ちゃん……柊木は奇跡の女剣士って言われてる!その剣士が鬼側についてるからな!お前らいつもの鬼狩り以上に本気でかかって来なけりゃすぐに負けんぞ!開始二時間以内に腰にぶら下げた袋切り落とされた奴は後日、地獄の鍛錬があるって思っとけ!」

説明まではいたたまれないながらも比較的穏やかな気持ちで聞いていたのに、突然自分に話の矛先を向けられた風音は目を剥いて冷や汗を大量に流し出した。

「私……狙われ続けるんじゃない?どう考えても一番弱い私が集中的に……」

ブツブツと泣き言をつぶやく風音の隣りにいるのは実弥。
実弥の予想通り涙目になった姿に笑いを零し、ポンと背中を軽く叩いた。

「一旦バラけた後すぐ風音んとこ戻る。それからは守ってやるから心配すんなァ。柱全員で固められてるお前に一般剣士の技が届くことなんてねェよ。まァ……俺らが合流するまでは頑張れ」

「聞いてないです!師範たちが来て下さるまで一人ぼっち……?」

初めからずっと一緒にいてもらえるわけではないらしい。
確かに最初は守ってやるからと言ってもらっていたが、初めからずっととは言ってもらってない。

しかし過酷な豆撒きの取り決めを今教えて貰って泣きそうになっても現実が変わることなどありはしない。

「数十秒くらい耐えれるだろ」

「待って!ちょっと待って下さい!」

「じゃ、俺らバラけるから木刀抜いたの確認したらかかってこい」

無情にも風音の意見が皆に伝わる前にバラける号令がかかってしまい、もうどうしようもなくなってしまった。

「数十秒……ほぼ全員が私をギラギラした目で見てるけれども……どうしようかな」

他の柱に向かうより風音に向かった方が腰に携えた袋を切り落とされない。
皆考えることは同じようだ。
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