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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


やる気満々の風音に杏寿郎としのぶは穏やかな笑みを、実弥は苦笑いを零して歩くよう促した。

「今のうちに呑気に笑っとけ。ほら、移動すんぞ。ここだと一般剣士たちと混じっちまう」

「え?ここで集合じゃないんですか?」

柱に周りを囲まれまるで連行されるように移動させられている風音は一般剣士。
柱側として参加するならば共に移動するのは当たり前なのだが、後に柱と共に姿を現すのがとてつもなく申し訳なく……少し恥ずかしい。

「あ"ぁ"……柱側には特別に用意されてるもんがあんだよ。行きゃ分かるから着いて来い」

「特別に用意……さすが柱ですね!その特別な物を目に出来る私は恵まれてます!何だろー?ちょっと楽しみです!」

何かは分からないが特定の人物だけ特別に……と言われると見てみたくなるのは人間の性として仕方がない。
ただその特別な物が三人の柱にとってはあまり有難い物ではないようで、大人しく着いて来ている風音を生暖かい目で見つめていた。



そして辿り着いたのは平地に簡易な幕で仕切られた場所。
特別な物を見ようと嬉々として三人の後に続いて入った風音の目に映ったのは……木刀の山だった。

「……木刀。師範、この数え切れないほどの木刀は何ですか?柱側は私を含めて十人のはずなのに……誰か参加するのでしょうか?」

地面に山積みにされている木刀の前に歩み寄った実弥は、腰に既に木刀を差しているのにおもむろに更に二本掴み取ってベルトに差し込んだ。

「総勢数百人相手の剣士の技受けんだぞ?たかが木刀一本で最後まで持つはずねェだろォ?柱側に特別に用意されてるもんは、この大量の替えの木刀だ」

「…………」

驚きのあまり体を硬直させた後、実弥の言ったことの真偽を確かめるために二人を仰ぎ見るも、返ってきたのは非常に穏やかな笑顔と頷きだった。

「特別な物……木刀。そうですよね、何度も呼吸の技を受けたら木刀一本で足りるわけないですし……なるほどです!では折れた木刀の数だけ強い剣士がいる、もしくは私の受け流す力量が足りなかったっていうのが判明するんですね!」

どこにやる気を見出したのかは不明だが、風音はやる気に満ちた表情で木刀を一本掴み取ってベルトに差し込んだ。

それから柱たちが続々と到着し、各々ベルトに予備の木刀を差し込み準備は完了した。
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