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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


「到着……でいいんだよね?すごく広い。渓流まであるよ!わぁ、ここでご飯食べたら気持ちよさそう!」

どんよりした実弥の隣りで無邪気に喜ぶ風音。
本部こと産屋敷家が所有する地には森や渓流まである始末だ。

風音の言う通りここで昼餉を食べれば気持ちよく過ごせるのだろうが、今日ここに来た目的はお食事会などと楽しく穏やかな時間を過ごせるものを満喫するためではない。

「実弥君!ほら、魚が跳ねた!……こんな綺麗な場所を荒地にするんだね」

「荒地ってお前……まァ間違っちゃいねェが。風音、楓に届けてもらった組紐あったろ?首に結んどけ」

風音に指示を出した実弥は既に隊服に忍ばせていた緑色の組紐を取り出して首に結び付けており、それを見た風音も慌てて若葉色の組紐を取り出して隊服の立襟の上から結び付けた。

「……なんだか猫ちゃんになったみたい。鈴ついてなくて良かった。歩く度にリンリン鳴ったら」

「やめろォ……変なこと考えんなァ。それより……だいたいこんな時は煉獄とか胡蝶が早く到着してんだが、アイツらまだ到着してねェのか?」

二人して辺りを見回していると、自分たちが来た方角から噂をしていた杏寿郎としのぶが晴れやかな笑顔で歩み寄って来ていた。

「おはようございます。お二人共早いですね、楽しみにしていたんですか?」

「んなわけあるか……コイツが浮き足立ってたんで早く到着しただけだ。まァ、俺はあれだがコイツは楽しみにしてたみてェだぞ。数百人から一斉に技放たれる面倒くささ知らねェ奴は呑気でいいもんだァ」

呑気と言われた風音は特に気分を害した様子はなく、なんならご機嫌にニコニコ笑顔である。
その様子にげんなりする実弥といつも通りの優しい笑顔を向けてくれているしのぶ、そして今日も元気な杏寿郎が風音の背をポンと叩いた。

「どんなことにも全力で楽しめるのはいいことだな!風音、不死川から聞いていると思うが、君が能力を使い慣れるまで俺たちで守るので存分に練習するといい!」

「はい!ありがとうございます!全力で皆さんの頭の中に見えた先を送るのでよろしくお願いいたします!まだ二人までしかした事がないので心配ではありますが……頑張ります!」
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