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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


涙目となって焦る風音を手招きで呼び寄せ畳をトントンと叩いて座るよう促すと、実弥は風音が座ったことを確認して細い肩に頭を預けて話し出した。

「鬼殺隊の豆撒き舐めんなよ……俺たち柱側が鬼になって向かってくる剣士を片っ端から相手取んだ。豆撒きっつっても豆なんて可愛いもんは投げてこねェ。投げられんのは技だ」

世にも恐ろしい豆撒きが鬼殺隊には存在していた。

「つ……つまり、総勢数百人の剣士を相手に応戦するということ?でも勝ち負けはどうやって判断するの?技が当たったら負け?」

風音の頭の中は疑問符で埋め尽くされている。
それは鬼殺隊式豆撒きを知らない千寿郎も同じようで、二人顔を見合わせて首を傾げる。

そんな二人の疑問を解消すべく声を張り上げたのは、早々に気持ちを切り替えた杏寿郎だった。

「そうなるな!ちなみに鬼側、つまり柱側の勝ちの条件は剣士が腰に携えた豆の入った袋を切り落とすこと。人間側である剣士たちの勝ちの条件は俺たちの首に巻いた紐を半数以上奪い取ることだ!剣士の質が高ければ柱側が負けることもあるらしいので、生半可な気持ちでは負けてしまうぞ!」

誰がそんな豆撒きなんて考えたのだろうか……
豆撒きと言いつつ豆なんてほぼ飾りのようなものでしかない。

しかも首に紐を巻いてそれを剣士たちが決死の思いで奪い取りに来るなど……頸を斬られる鬼を模しているようで何だか嫌だ。

「そ……そうですか。私も一般剣士なのに柱側で参加など何だか複雑な気持ちになりますね。頸……守らなきゃいけないんだ……ちなみにこの催しにはどういった意図があるんですか?」

「そりゃあ……剣士の質を確かめるために決まってんだろ?最近の剣士の質は間違いなく落ちてっからなァ。今の剣士の質がどれほどのもんか確認して、質をあげる対策練るための準備だと思っとけ」

それならば風音は是非とも一般剣士側で参加させて欲しいだろう。
柱でもないのに剣士たちから狙われ続けるなど恐怖でしかないのだから……

と思いつつもそんな尻込みするような言葉を師範の前で零すことが出来ず、実弥の頭が肩から落っこちないよう細心の注意を払いながら小さく息をこぼして肩を落とした。
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