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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


「何でアイツと二人で話したがるんだよ!可笑しいだろ?!何の話してやがる……せっかく家に帰ってきたってのに」

「まさか話の中心であるはずの俺まで締め出されるとは思っていなかった!すまないな!風音を父上が独り占めしてしまって!」

さっきから同じような会話を永遠と二人が繰り広げている隣りで、千寿郎はたまらず二人に声を掛けた。

「父上は僕たちに涙を見せるのが照れくさいんだと思います。特に兄上や不死川さんは柱ですから、元柱としての矜恃があるのでしょう。僕が不死川さんに言うのはおかしいかもしれませんが、あの日あの時……柊木さんとあの場所にいて下さってありがとうございます」

深く頭を下げられてしまった実弥が照れくさそうに頭を掻いてストンと腰を落ち着けると、杏寿郎もつられるように実弥と千寿郎の隣りに腰を落ち着けた。

「俺は風音の髪飾りを買いにたまたまあそこに行っただけだ。煉獄の父ちゃんだって知って突っ込んでったのはアイツなんでなァ……俺は……その……挑発しちまっただけだし」

「挑発か!父上の怒り狂った顔が思い浮かぶぞ!よく怒り狂った父上に風音は突っ込んで行ったものだな!さすが不死川の弟子と言ったところか!」

と……まぁ取り留めのない話をして二人が戻ってくるのを三人で待っていると、爽籟と楓がふわりと庭から飛び込んできた。

「風音ハドコダ?」

「お前なァ……お前は俺の鎹鴉だろうが。家に戻って一番に風音探してんじゃねェよ。で、何かあったのか?任務か?」

爽籟と楓の宿り木である風音の姿がないことに二羽は少ししょんぼりしたのだが、いち早く気を持ち直した楓が実弥の膝の上にぴょんと飛び乗って要件を伝えた。

「豆撒キヲスル!トノコトデス!私ハ初メテノ催シナノデヨク分カラナイノデスガ、三日後ニ敢行スルラシイデス。風音サンハ柱側デ参加スルヨウニト指示ガ出テイマス」

「各自準備ヲ整エ、本部ガ所有スル地ニ集合スルコト!木刀ヲ忘レズ持参シテナ!」

鬼殺隊の隊士……それも数年鬼殺隊に所属している者以外には意味の分からない指示に、二人の柱はピキリと表情を固まらせた。
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