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涼風の残響【鬼滅の刃】

第15章 豆撒きと刀


不死川邸に到着して程なく……しなくても杏寿郎の父親である槇寿郎は何故か杏寿郎の弟である千寿郎と共に到着していた。
槇寿郎が難しい顔をして門の前に仁王立ちで、千寿郎が所在なさげに立っていたかと思うと、重傷人の様相である風音に二人して顔を青くして震えていたとか……

「驚かせてすみません。もう傷はほとんど塞がっているのですが、実弥君……不死川さんが心配して包帯を巻いてくださったんです。あ!お酒、勝手に持ち帰ってしまって申し訳ございませんでした。お、お持ち帰りください」

すすっと向かい合い座っている槇寿郎へと酒瓶を畳の上を滑らせて渡すも、それを槇寿郎は受け取ろうとしない。

ちなみに槇寿郎の希望により部屋の中には風音と槇寿郎の二人きりである。

生意気なことを槇寿郎に言ってしまった自覚のある風音は二人きりでと言われた時にビクビクしていたが……さすがと言うのだろうか。
杏寿郎の父親らしい穏やかな雰囲気を出してくれているので今やすっかり心穏やかに向き合えている。

「あの、よければ傷薬や腹痛止めのお薬をお持ち帰りされませんか?実は私、お薬を作るのがすごく好きなんです。傷薬の匂いはあれですけど……効き目は柱の方からのお墨付きなんです!確かここに……」

初めて会った時と同じく襟元から出された小さな紙包みと小さな丸い容器。
なぜそこに……と思いながらも槇寿郎は笑顔で差し出されたそれら二つを受け取った。

「かたじけない。その……頬は大丈夫か?そなたのような女子の顔に傷をつけてしまったこと、申し訳なく思っている。それと……一つ教えて欲しいことがある」

「次の日には治りましたし、何より私が飛び込んで行ったので槇寿郎さんが謝られることは何もありません。……私でお答えできることならば何でもお聞きください。杏寿郎さんのこと……ですよね?」

広い屋敷の一室で静々と会話が繰り広げられる中、居間では実弥と杏寿郎が千寿郎を置き去りにソワソワしているようだ。
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