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涼風の残響【鬼滅の刃】

第14章 炎と風


「まだまだ未熟で柱なんて私には勤まらない。けど、鬼が私を狙うなら鬼殺隊にいる意味があるでしょ?でも……一人で任務に行けないなら実弥君に迷惑掛けちゃうんじゃ……私は」

爛々と光を灯したかと思えば再び頼りなく眉が下がってしまった。

よくもまぁこんなに表情を変えられるものだと感心しながら、実弥は瞼にそっと唇を落とした。

「今までとあんま変わんねェだろ。俺の任務に同行すんのは今まで通りだ。変わるとすればお前の任務に柱と同等の鬼が割り当てられ、柱の誰かが同行する。まだ決まってねェけど、その鬼も複数体になるんじゃねぇかなァ?」

現実的に考えれば風音の処遇はこんなところだろう。
柱に準ずる階級の剣士をみすみす任務から外すようなことを本部はしない。

そしてその剣士が一人で任務を行えないのであれば柱が相手取る鬼と同等の鬼を割り当て、任務に赴く人数に応じて討伐する鬼の数も相応のものにする。

そうすることにより風音の能力や現状を知らない一般剣士と風音との間に軋轢が生じることを防ぐことができ、何かと思い悩んでしまう風音の心的負担を軽減出来るだろう。

まだ本部に提言していないものの、他の柱たちも同じようなことを考えているだろうし、ほぼ決定事項に近いはずだ。

「私は……負担にならない?実弥君や柱の皆さん、鬼殺隊にとって負担な存在にならない?囮以外でも……役に立てる?」

誰も囮にするなど一言も言っていないのに、風音は自分の中で自分の有用性は囮だと決定付けられていたらしい。
なぜ自分を犠牲にすることばかり思い付くのかと実弥は溜め息を零し、風音の額に自らの額をコツンと軽くあてがった。

「女一人を囮にするわけねぇだろ。鬼殺隊はそんな組織じゃねェよ。ほら、もう泣くなァ。朝日、そんな泣きっ面だとちゃんと見れねェぞ」

「うん……ねぇ、実弥君。もし……もし私が柱にいつの日かなれたとしたら、私は実弥君のお家から出ないといけない?その……こんなこと言っちゃダメだって分かってるんだけど……離れて暮らすのは寂しいなって」

次から次へと不安事が出てくるのはまだ鬼舞辻との戦闘が尾を引いているからだろう。
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