• テキストサイズ

涼風の残響【鬼滅の刃】

第14章 炎と風


「柱なってもお前が望むなら俺の家にいればいいだろ?別に住んでる場所が柱になる基準になってるわけじゃねェんだから。はァ……もう不安なことはねェか?ねぇなら体拭いてやるから」

「か、体を?!大丈夫!自分で拭けるよ!鬼殺隊の負担にならなくて実弥君と一緒にいられるなら、不安なことなんて一つもなくなったから!背中もこうして体を捻れば……いたた」

今の風音の慌てふためき……痛がる表情を見れば不安はなくなったのだと分かる。
分かるのだが傷だらけの体を無理に捻るものだから、痛みからピクリと体が跳ねてしまった。

痛みに体をさすり涙目になっている風音に苦笑いを零し、布団の上に体をストンと戻してくるりと後ろを向かせる。

「拭ける状態じゃねェだろ」

「あ、う……でも一日くらい拭かなくても大丈夫かなぁって。ほら、実弥君も疲れてるでしょ?自分が選びとった先でついた傷だし……あ、あれ?」

「立花に口止めしたのはそのことかァ?お前なぁ、ガキじゃねェんだから叱られんの嫌ってだけで口止めすんな!それに隠し事なんて高等な技がお前に扱えるわけねェだろ!分かったら俺に言うことあんじゃねェかァ?!」

誘導尋問に易々と引っかかった風音はしょんぼり。
更に叱られてしまい益々風音はしょんぼりである。

そのしょんぼり顔のまま実弥に向き直り頭を下げた。

「ごめんなさい……ご心配ばかりお掛けして」

畳に視線を落としていたはずなのに、頬に温かさが広がったかと思えば実弥の顔が風音の瞳いっぱいに映し出されていた。

「え……実弥君?んんっ?!ん……」

暖かく柔らかな感触が唇に広がり深く口付けを落とされた。
ふわふわと頭の中が熱に浮かされ体の力が抜けたので、どうにか保たせるために実弥の首元に腕を回して縋り付くように抱き着くと、ゆっくり唇を離され……唇をスっと指で撫でられる。

「俺に隠し事すんな、俺だけ知らねェなんて納得出来ないだろ。いいな?」

未だにぼんやりする意識の中でも実弥の声は風音の耳にしっかり届き、夢現状態のまま何度も頷き返した。

「ハハッ、顔真っ赤じゃねェか。ほら、掴まっとけ。窓際まで運んでやる」

「ん、うん!朝日一緒に見たい!」

怒涛の一日を過ごした風音は無事に実弥と共に、輝く朝日を翡翠色の瞳で眺めた。
/ 985ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp