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涼風の残響【鬼滅の刃】

第14章 炎と風


この暴走しがちな少女を叱りつける存在が増えることは実弥としては有難いが、叱られる度にしゅんとなってしまうのだと思うと少々複雑。

今も叱られた時のことを思い出し頼りなく眉が下がっているので苦笑いが零れてしまう。

「そりゃあお前、置き去りにしろって言われたら怒る奴もいるだろうよ。特に柱が……今回は冨岡がいやがったんだから、アイツが戸惑うくれぇに頼っちまえばよかったんだ。だが……こうも俺だけって言われっと嬉しいもんだなァ」

未だに実弥以外の人との距離感をイマイチ上手く掴めず戸惑い叱られ落ち込む風音を心配しつつ、幼子が親を求めるように一身に求められると悪い気はしないらしい。

傷に響かない程度にキュッと体を抱き寄せ……人として戻ってきた風音の暖かさに一心地つく。

「それは……出来るか分からないけど、任務後に誰かに頼れるようにしてみる。でもね、私は早く実弥君みたいに頼られる存在になりたい。実弥君や柱の皆さんみたいに、そこに来てくれるだけで力が湧いてくるような……強い人に」

「十分だろ。お前と任務に行けば柱と同行任務するくれぇ被害が少なくなるって言われてんだからなァ。風音、何で風音が柱に就任出来ねぇのか分かってんのか?」

ポカポカと実弥の暖かさに癒されていた風音はキョトンとして実弥を見つめる。
柱になれないなど一つしか考えられないからだ。

「私が弱いから。いつまでも怪我ばっかりして頼りない……から?」

「……そもそもお前は柱になる基準を全て満たしてんだぞ?鬼を五十体以上倒してるし、十二鬼月も倒してる。階級も甲だ。宇髄が退いた時点で本来ならお前が柱になるはずなんだがなァ……先を見る能力が鬼舞辻に本格的に狙われ始めたとなると、警備や任務で一人に出来なくなっちまう」

今までも散々実弥や柱に頼り迷惑を掛けているのに、この能力はまだ鬼殺隊に迷惑を掛けてしまうのか……
自分ではどうしようもないのが現実だが、酷く風音の心を苛み胸が締め付ける。

しかし有用性も見いだせたのか悲しみに揺れた瞳がいやに爛々と光を灯した。

「……考えてること顔に出過ぎだって前にも言ったが、やっぱお前は変わんねェなァ。泣いて蹲ってくれりゃあ……守ってやるって言えんのに」
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