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涼風の残響【鬼滅の刃】

第14章 炎と風


風音の救援及び鬼舞辻無惨討伐に向けて柱が続々と集まりつつある中、そのことを知らない風音は遥か向こうに見えだした鬼舞辻の姿を目にして滝のように身体中から汗を流していた。

(何あれ……上弦の鬼が赤子みたいじゃない!さすがは鬼の親玉……どうすれば勝てる?どうすれば退かせられる?あ……誰かの先が流れ込んで……ダメ!来ないで!勇さん、玄弥さん!どうか戻って!)

考えても考えてもいい案など浮かばず焦りだけが募っていたが、それに加え頭の中に勇と玄弥が鬼舞辻に殺される未来が頭に流れ込んできてしまった。

幾ら焦りを募らせ勇たちの残酷な未来に胸を痛めようと鬼舞辻の足が止まることはなく、更には苛立ちを露わにするかのように背中から生えている数本の触手のようなもので木々や地面を抉りつけている。

「出てこないのであれば先にあちらの剣士共をなぶり殺してやろう。仲間が惨殺されれば流石に出てくるだろう?」

二人がいると思われる場所へと体を向けた鬼舞辻相手に考える余裕などなくなってしまった。

(こんな未来なんて見せたくないけど……どうか届いて!勇さんと玄弥さんの頭の中にどうか!)

離れた場所から自分の見た未来を人の頭の中に送るなどしたことがない。
そもそも出来るものだと思ったことすらないので、試そうとしたことなどなかった。

しかし鬼舞辻が狙っているのは、風音の能力を知って尚仲間だと言ってくれた勇と、実弥が大切に想い守ろうとしている玄弥である。
その誰も風音が隠れているばかりに命を奪われることなどあってはならないと、人に触れその人の頭の中に見たものを流し込む要領で二人へ意識を飛ばしながら、両手で日輪刀を握り締めて枝から飛び降りた。

「夙の呼吸 肆ノ型 飄風・高嶺颪!」

上から下へと放たれた技は間違いなく鬼舞辻に直撃した。
直撃して肩から腹を斬り裂いたはずなのに、目前にいる鬼舞辻の洋服を切り裂いただけで擦り傷一つついていなかった。

それでも戦い続けなければ鬼舞辻が大切な者たちの命を奪いに行ってしまう。
技を出しては切り付けを幾度となく繰り返し…… 風音の体力だけが奪われていった。

「はぁはぁ……くっ……夙の呼吸ーーっ?!」
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