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涼風の残響【鬼滅の刃】

第14章 炎と風


これ以上踏み込まれてしまうのを避けるために二人に背を向けたが、那田蜘蛛山での勇との約束を思い出してくるりともう一度二人へと向き直る。

少し怯えているような風音の表情に二人は首を傾げるも、何も問い掛けることはせずに風音の言葉に耳を傾けた。

「私は未来を見る能力を持ってます。気味悪いかもしれないけど……これからも今みたいに話し掛けてもらえると嬉しいな……なんて!すみません、ではまた後ほど!あ、お二人共無事に合流場所に辿り着けるから安心して下さい!」

…… 風音が再び作り笑顔となった。
その様が自分たちの返事を恐れているからこそ作られたものだと理解した勇は、背を向けようとした風音の手を掴んで僅かに自分へと引き寄せ笑顔を向けた。

「仲間なんだし今まで何回も助けて貰ってて気味悪いなんて思うわけないだろ?これからも絶対話し掛けるから!だから苗字じゃなくて名前で呼んでくれ!俺も名前で呼ぶから!仲間の証みたいなもんだ!」

想像すらしていなかった勇の言葉に動きを止めた風音だったが、願ってもない嬉しくもほんの少し恥ずかしい言葉に頬を赤く染めて小さく頷いた。

「ありがとうございます!では勇さん、玄弥さん、二体の鬼はよろしくお願いします!また……合流場所で会いましょうね。くれぐれもお気を付けて!」

握ってくれていた手をキュッと握り返して頭を下げると、今度こそ鬼を倒すために風音は北の方角へと走り去っていった。
その背中を見送った玄弥から一言。

「俺、話に入ってなかったんだけど……」

「いいじゃん!風音の能力も聞けて互いに名前で呼び合えるようになったんだからさ!あー……不死川さんと恋仲じゃなかったら飯でも誘ってたのになぁ」

「え?!風柱と恋仲?!アイツと風柱がか?!」

驚く玄弥に勇がビックリ。
詰め寄ってきた玄弥に若干引きつつぽろり。

「え……不死川って不死川さんと兄弟じゃねぇの?兄貴から聞いてなかったのか?」

「……聞いてねぇ。俺は兄貴に嫌われてるから」

玄弥はそんな言葉と勇を残して指示された場所へと走り去っていく。

「……やっちまったぁ。後で謝らないと」

悲しげに表情を歪めた玄弥の背中を見送り、勇は気持ちを切り替えて仲間の援護へと向かった。
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