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涼風の残響【鬼滅の刃】

第14章 炎と風


あれから数日。

未だに酒は台所の暗所に保管されたまま。

それを目にする度に罪悪感が顔を覗かせ胸の中に蓄積していく。

「どうしよ……実弥君は別に気にしなくていいって言ってくれてるけど。さすがに預かったままっていうのは良くない気がする」

どうなっているのか気になりはするものの人様の家庭事情に首を突っ込むわけにもいかず悶々とした日々を過ごしていた。

そして悶々とした日々を過ごしながらも任務は舞い込んでくるのが現実で、今日も今日とて任務へと赴きあと少しで任務地へと到着するところである。

「杏寿郎さんのことは任務が終わってから悩もう……今日は合同任務だし気を引き締めて行かないと!楓ちゃん、他の剣士の人たちとの合流場所はもうすぐだよね?」

気持ちを切り替え夜空に向かって問い掛けると、夜空の一部となっていた楓がふわりと風音の肩の上に降り立った。

「ハイ。見タトコロ数人ガ既ニ到着シテイルヨウデシタ。アノ……ソノ中ニ不思議ナ剣士ガイタノデスケレド」

到着している剣士がいるのならば急がなければと楓を胸の中に抱きかかえて走り出し、楓の言う不思議な剣士の存在に首を傾げる。

「不思議な剣士?どんな人なの?」

「刃渡リガ短イ日輪刀ノ他ニ南蛮銃ヲ携エテイマシタ。刀ト南蛮銃ノ二刀流デ戦ワレルノデショウカ?」

確かに日輪刀を武器として鬼と戦う剣士と比べると不思議である。
そもそも風音も今まで様々な剣士たちと任務を行ってきたが、今まで銃を使う剣士など目にしたことがないので二刀流で戦うかと聞かれると首を傾げるしか出来ない。

「南蛮銃……でも今まで鬼殺隊として戦ってきてるなら問題なく鬼を倒すことは出来るはず。確か今日は癸の剣士はいなかったはずだからね!大丈夫、間違いなく頼りになる人だって私の勘が言ってる!」

どこからその自信が出てくるのだと思うほどに風音の表情は生き生きとしており、それを見た楓は目を僅かに細めて抱えてくれる腕に身を沈みこませた。

「ハイ!ア、見エテキマシタ!アノ方タチデス!」

風音と楓の視線の先には鬼殺隊の隊服を着用した二人の剣士の姿。
そのうちの一人を見て風音が目を見開く。

「南蛮銃の人……お顔が実弥君にそっくり」
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