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涼風の残響【鬼滅の刃】

第13章 夜闇と響鳴


そしてその後を伊之助が追いかけていってしまったので風音は瞬く間に一人ぼっちだ。

「見せてる?流れきた?……実弥君から聞いてないって何のこと?」

知りたくとも二人は既にこの場にいないので聞くに聞けない。
しかしこれから鬼の足止めという大切な役割も与えてもらっているので、ここで立ち止まって考え続けるわけにはいかない。

「んー……私の見た先が見えたのならばいいのだけど。帰ったら実弥君に言ってみよっと!よし、幸先いいし鬼もどうにかなりそう!そうとなればさっそく京極屋に行かないと!」

詳細は天元も伊之助も何も言わずに去ってしまい分からないままだが、恐らく戦闘において有利になることが起こったに違いないと思い直し京極屋へと足を向けた。





「善逸さん、あと一分で鬼へと攻撃をしかけます。京極屋の皆さんの避難誘導お願いします」

どれほどまでの距離の声を耳で捕えることが出来るのかはっきりとは判明しないものの、京極屋から人が出てき始めたので善逸の耳に風音の声は無事に届いたと思われる。

順調に避難誘導を進めてくれている善逸に感謝しつつ、風音は深呼吸を零して日輪刀の柄に手を当てた。

「鬼は二体で一つ。天元さんが合流するまで男の鬼は出てこないはずだから、まずは鬼花魁の頸を斬って中に私の血を流し込む……ここまで出来れば後は手足を吹き飛ばして……あれ、上弦の鬼の頸とか体って痣が出てなかったら斬れなかったような」

冷や汗を伝わせながら右腕に視線を落とすも痣は発現していない。

「……うん、どうにかするしかない!ふぅ、善逸さん、行きます!」

鬼花魁から姿が見えないように身を隠していた横路地から飛び出し、鬼殺隊に入って実弥に鍛えられた脚力を発揮して一気に店の瓦に飛び乗る。

目に入った日の当たらない北側の窓は閉まっているが、それがなんだと言うように日輪刀で切り伏せて中へと身を躍らせた。

「こんばんは、蕨姫花魁。君に頬を叩かれた借りを返すのと、今まで命を奪われた人たちの無念を晴らしに来ました。覚悟して下さいね」

「アンタ……やっぱり鬼狩りだったんだね。弱っちいアンタがアタシを倒せると思ってるなら」

嫌な笑いを浮かべ悪態を吐こうとした鬼花魁の頸は床に転がっており、風音の右腕には若葉色の痣が発現していた。
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