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涼風の残響【鬼滅の刃】

第13章 夜闇と響鳴


「結局、竈門さんたちが帰る未来は見えなかった。すごいなぁ、天元さんと竈門さんたちのご縁は強いんだ。……それにしてもこれからの時間どうしよう?今は天元さんが鬼を見張ってくださっているけど……」

天元と別れてから日が暮れる少し前まで休ませてもらった。
ほぼ毎日昼夜逆転の生活を送っているので特に問題なく眠ることができ、今は男性客も少なくなりつつある夜明け前。

「風音ちゃん!やっと見つけた!これからどうする?鬼が動き出すのは明日なんだよね?」

昨日から今にかけて顔を合わせられていなかった善逸とようやく再会できた。
何でも三味線を姉様方にお披露目したり、禿の子たちに聞かせてあげたりしていたらしい。

これまでの間、特にこれといった動きはなく…… 風音は床を拭いていた雑巾を手に立ち上がった。

「我妻……善逸さん。うん……私の見た通りに進めば鬼が動き出すのは明日なのだけれど、天元さん曰く多くの人が関わると先が変わることがあるから確かではなくて……ごめんね」

「いやいやいや!未来が見えるだけでも凄いでしょ!まだ俺は風音ちゃんの予知が当たるとこ見てないけど……とりあえず俺は離れた部屋から鬼の様子を伺っておこうかな」

恐怖を顔に滲ませた善逸は風音の手を取り、北側の鬼花魁のいる部屋から遠く離れた部屋へと移動を開始した。

ちなみに風音の能力は杏寿郎の継子三人が帰る未来が見えなかったことにより、天元から通達が下された。
共闘するなら互いの手の内は明かしておいた方が動きやすいと、天元が判断した故である。

「あ、私は近くのお部屋で待機しておこうかな。女将さんが鬼花魁と接触しないか心配だし、もし接触したならば助けないといけないでしょ?」

「え……怖くない?!鬼だよ?!上弦の!近くにいたら危ないじゃん!」

元々怖がりの性格なのだろう。
善逸は風音の手を握り締め涙をボロボロ零しながら震えている。

「怖くないことはないけど、女将さん……私に優しくしてくれたの。禿たちの身代わりとして雇い入れたのに、怪我をしたら心配してくれて。だから、女将さんは何がなんでも助けたいなって」
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