• テキストサイズ

涼風の残響【鬼滅の刃】

第13章 夜闇と響鳴


「まぁ……それはそうなんだけど。嬢ちゃんは見た目大人しそうなのに、中身は偉く男前だな!分かった、嬢ちゃんが潜入する事を許可する。だが約束してくれ、命の危険を感じたらすぐに俺に知らせること……いいな?」

しかし天元は実弥が出すであろう条件と同じものを出して許可を出してくれた。

「もちろんです。命の危険を感じればこの丸い容器に入った傷薬を、鬼が私や我妻さんを鬼殺隊と見破り予定を早めて動き出しそうなら、この四角い容器の傷薬をお店の前に置いておきますね」

着物の袂からゴソゴソと手のひらに乗るほどの小さな容器を取り出し天元に見せる。
それを確認した天元は大きく頷き頭に置いたままだった手で風音の髪をそっと撫でた。

「分かりやすい目印助かる。よし、じゃあ京極屋に行くぞ。何度も不死川に言われてると思うが俺からももう一回。頼むから男には気を付けてくれ、我妻は俺と同じで耳がいいから何かあれば我妻を呼べよ?」

「はい!恐らく一般の男性ならば私でどうにか対処出来ると思いますのでご心配なく!」

……どうしてだろう。
普通の人ならば自信満々の顔を見れば安心できるのに、風音が自信満々だと不安が掻き立てられる。

一抹の不安を胸に抱きながら……天元は風音を京極屋へと送り出した。





「女将さん!お掃除と花瓶の水換え、廊下の拭き掃除終わりました!他に出来ることはありませんか?」

「え?!もう終わったのかい?!ちょっと待ちな……あぁ……さっそくで悪いんだけど、蕨姫花魁の部屋を禿の子たちと一緒に片付けてやってくれ。あの子が戻る前に片さないと癇癪起こしちまう」

形式上、京極屋へ売られてから風音は手際よく女将から出される雑用をテキパキとこなし、願ってもない雑用を与えられることとなった。
意識していなくてもそれが風音を笑顔にさせ、思わず女将の手を握り締めた。

「はい!確か二階の北側のお部屋でしたよね?……女将さん……明日の夜、蕨姫花魁に接触しないで下さい。お約束です!」

笑顔が翳りそうだった。
女将の明日から明後日にかけてをこっそり見せてもらうと、女将が鬼に空から落とされる姿が頭の中に流れ込んできたからだ。
/ 985ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp