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涼風の残響【鬼滅の刃】

第13章 夜闇と響鳴


無事に雛鶴を保護出来て二日後にはあと二人も保護出来る。
心のつかえが軽くなった天元は風音の顔を見るまで笑顔だった。

笑顔だったのだが……今の風音の顔を見て苦笑いに加え冷や汗まで流れている。

「雛鶴さん、天元さん共に無事で安心しました!私にとってもですが、天元さんにも朗報が舞い込みました!私、下働き兼鬼……元言い蕨姫花魁のなだめ役に抜擢されたんです!実は……」

冷や汗を流し続ける天元に女将から話された内容を事細かに伝えた。

すると天元は風音が背を預けていた壁に体を寄りかからせ、悲壮な表情で空を仰ぎ出してしまった。

「嬢ちゃん……それ、禿が受けるはずの折檻を代わりに受けろってことじゃねぇか。確かに嬢ちゃんは不死川から扱かれてるからちっこい禿と違って受け身とれんだろうが……花魁に傷をつけるわけにはいかねぇから、嬢ちゃんの怪我は免れないぞ……何で目ぇキラキラさせてんの?」

「人間のふりをしてる鬼から与えられる傷なんてしれてますよ!それだけで小さな女の子を鬼から守れるなら本望です!私が鬼に警戒されれば我妻さんは動きやすくなる、小さな女の子が痛い思いすることを防げるなんていいこと尽くめですね!さっそく」

喜び勇み京極屋へ向かおうと踵を返した風音の頭を掴み、天元はくるりと自分の方へと向けた。

「待てって!何なの、その前向き思考……さぞかし不死川からは叱られてるだろ?自分の体も大切にしろって言われてねぇか?」

「……言われてますね。でも私は私の身がどうなってもいいなんて思ってないんです。天元さんや実弥君が身を呈して鬼と戦い人を助けるように、私も今の自分で出来ることで人を守りたい。鬼である花魁からの折檻なんて、小さな女の子が受けるには耐え難いものだと思うんです」

実弥がこの場にいたとすれば天元と同じような反応を返すであろうことは風音も理解している。
しかし自分の考えをしっかり伝えれば、全ての事柄を考慮した上でそれが風音にこなせて被害も少なると判断出来次第許可がおりる。

だがそれは実弥がたくさんの任務を風音とこなしてきたから判断出来ることであって、天元が実弥と同じ判断を下せるとは限らない。
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