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涼風の残響【鬼滅の刃】

第13章 夜闇と響鳴


思わずぎょっとする姿に変身させられた炭治郎たちはそのまま部屋で待っていてもらい、現在は風音が着替えを済ませた部屋で天元と向かい合い先を見るところである。

「では早速見させてもらいますね?そのまま楽にしていてください」

「あぁ、だが嬢ちゃんに危害及びそうならすぐに見んのやめてくれよ?」

そそくさと天元の大きな手に自分の手を重ね合わせて準備万端な風音は大きく頷き返し天元の臙脂色の綺麗な瞳を見つめた。

吸い込まれそうなほどに透き通った風音の瞳は普段のふわふわとした色が全くなく、何が頭の中に流れ込んできているのか想像すら出来ない。

手強い鬼が潜んでいる花街での戦闘は間違いなく凄惨なもののはずで心を痛めているに違いないのに、それを自分の中だけで押し込めて感情を露わにすらしない。

(この表情見るたび……不死川はいたたまれねぇ気持ちになってんだろなぁ。俺でさえ堪えんだから……あ?!)

痛みなどを感じている様子はなかったのに、風音の瞳からぽろぽろと涙が零れ出した。

「嬢ちゃん、もう見んな!何だ?!何があった?どこか痛ぇのか?」

慌てて風音から手を離し顔を覗き込むも、手で顔を覆い隠しているので表情は確認出来ない。

「違います。私、こうして先を見る時は共有を切り離せるので……痛みじゃなくて……天元さん、見たものをお話しします」

涙を拭いぽつりぽつりと話し出した風音の話を纏める。

「嫁たちは無事、鬼は上弦の陸で二体で一体の鬼ね。その内男の鬼は毒持ちで女の方は全身が帯みてぇに伸び縮みしやがんのか。……もう泣くな!毒や俺の腕や目は事前に分かってりゃどうにかなんだろ!」

風音が見たのはここまで。
天元が左の腕や目を失い、男の鬼との戦闘で毒を受け瀕死になっている状態までしか見れなかった。

あと少し見ることが出来ればその先も分かるのだが、瀕死の状態の人間を見続けることにより風音にどんな影響が出るか分からない……との理由で天元から許可が出ないのだ。

「お願いします、見せてください……私はお薬を作れますが、血鬼術に有効な解毒薬は作れないんです……」

何度も天元に願うが答えは変わらず否だった。
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