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涼風の残響【鬼滅の刃】

第12章 紋様と花


あれから一ヶ月が経過し、ようやく風音の怪我は完治した。

蝶屋敷を後にする前に炭治郎からカナヲや杏寿郎の継子と相成った三人と一人のうち、改めて黄色い人……我妻善逸と禰豆子の紹介をしてもらった。

「カナヲさん、すごく可愛らしくて驚いたね!声もお顔も全てが可愛らしくって。禰豆子さんも相変わらず可愛くて床をのたうち回るとこだったもん。あ、今日からまた夙の呼吸の技を編み出すの、お手伝いお願いします」

そして現在、久方ぶりに帰ってきた不死川邸で朝餉を食し終わり、鍛錬までの時間。
こちらも相変わらず口を開けば永遠と実弥に話し続けている風音。

茶を啜りながら合間合間に相槌を打っている実弥にとって、これまた久方ぶりな風音の様子に煩わしさは感じておらず、他愛のない話を終始呆れながらも笑顔で聞いてやっている。

「よくまぁそんなに次から次へと話題出てくんなァ……栗花落とか鬼の妹は任務してたらまた会えんだろ。その時に好きに愛でてろ。んで夙の呼吸は伍まで出来上がってたなァ?何番目まで作るつもりしてんだ?」

「実弥さんの前だと話題が尽きないからね!お二人に会えるのは今度の楽しみとして……今は伍ノ型までだけど、風の呼吸と同じ数だけ出来たらいいなって思ってるの。その時々に合った技を出したくて……問題ないかな?」

表情も笑顔から真剣なものへところりと変化し、自分より遥かに感情表現が豊かな風音に心の中で感心しながら逡巡する。

実弥としては夙の呼吸を玖ノ型まで作るのは全く問題ないし、任務に同行させるにあたり多くの動きで適宜動いてくれた方がむしろ助かる。
風音にしてもこれから花街へ任務に赴くにあたり、強いと思われる鬼に対して多くの対抗手段があった方が自分や周りの人間を守るのに役立つのだが……

「花街に行くまでに作れても二つって考えとけ。作んのは問題ねェけど、数作っても使いこなせなけりゃ反対に枷になっちまう。考えてんのあんのかァ?」

師範の言葉に無闇矢鱈と楯突く風音ではない。
任務中は頑固な面を度々見せるが、こういう時は素直なので実弥の言葉に大きく頷いた。

「はい!実は考えているのは二つあるんです!陸と玖ノ型!」
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