第12章 紋様と花
「ったく……で?次から次へと何の用だァ?お前も継子取るとか言い出すんじゃねェだろうなァ?」
杏寿郎の継子になった炭治郎、三人と禰豆子を継子に迎えた杏寿郎の次に天元が来たとなれば天元もどこかしこからお眼鏡にかなう剣士を見つけて来たのかもしれない……と思ったのだが、どうやらそうではないようだ。
「あぁ、煉獄もここ来てたのか。違ぇよ、俺は継子を迎えてねぇからな!ちょいと嬢ちゃんに質問しに来たんだ。嬢ちゃん、花街って」
「ぉい……コイツに余計なこと教えんなァ!知ってると思うかァ?!辺境の村に住む前は親に大切に守られてた女だぞォ?!」
「知ってますよ?」
血管がはち切れんばかりに天元へ怒りを向けていた実弥は、胸元から聞こえた風音の声に動きを止める。
そしてギロリと風音を見下ろし睨めつけた。
睨みつけられる意味の分かっていない風音は首を傾げキョトンと実弥を見つめ返す。
「誰に聞いたァ?」
「ん?剣士の人。確か女の人とお茶したりしてから一緒のお布団で寝てもらう場所だよね?私も実弥さんと一緒に寝てもらってるから一緒だねって言ったら、柊木にはまだまだ色々早いからそのままでいてくれって。なんだろうね?」
他の剣士たちに二人が一緒に寝ていることがバレてしまっている。
年頃の男と同衾することが一般的にどう見られるか誰も教えていないので仕方ないかもしれないが、実弥からすれば後輩にあたる剣士たちに風音と眠っていると知られるなどたまったものではない。
「なんだろうね?じゃねェだろ……お前、恥ずかしげもなくそんなこと言いふらすなァ。……おい、宇髄。笑い堪えてんじゃねぇぞ!そもそもお前がコイツに花街っつぅ言葉言いやがるから……」
「ブフッ!いいじゃねぇの!少なくとも嬢ちゃんの宣言でお前と嬢ちゃんが恋仲だって剣士に知らしめられたんだからな!変な虫もつかねぇだろ?っと、話逸れちまった。嬢ちゃん、俺と一緒に花街行かねぇか?」
実弥の今までの怒りを理解していたのだろうかと疑問に思う天元の発言に、誘われた風音本人ではなくやはり実弥が目を血走らせ額から頬にかけて血管を浮き上がらせた。
「コイツに何させるつもりだァ?!テメェが花街での任務受け持ってんの知ってるが、まさかコイツに潜入させるつもりじねェだろうなぁ?!」