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涼風の残響【鬼滅の刃】

第11章 薄暮と黎明


「俺は炎柱 煉獄杏寿郎だ。君に願われて俺が鬼になると思うのか?俺は何があろうとも鬼にならない」

「そうか、鬼にならないならばお前を殺してその女を連れ……」

「夙の呼吸 参ノ型 凄風・白南風」

杏寿郎の横を柔らかな金色の何かがふわりと横切り、気が付けば鮮やかな菊の描かれた羽織が目の前ではためいた。

そしてまだ日の昇らぬ暗い空を彩ったのは赤い飛沫。

「かっ……たい!夙の呼吸 壱ノ型 業の風!」

一太刀目は上弦の参の腹を下から上へと切り裂き、二太刀目は地面を踏み締め迫り寄って横に薙ぐ。
それはしゃがみこんで避けられたものの、迫り寄った一瞬の隙をついて指先で上弦の参の腕に触れ、ふわりと宙を一回転して何事もなかったかのように杏寿郎の背後へと戻ってきた。

「破壊殺・空式、虚空を拳で打って打撃を無数に放つ技を使ってきます」

そして何事もなかったかのように上弦の参の先を見ては杏寿郎に伝えた。

言ってやりたいことは山ほどあるが、今は小言を風音に言っている時間はない。
なぜならば上弦の参が風音の奇襲に喜び勇み、こちらへと攻め込んできたからだ。

「なんだお前!先を読めればそんなことも出来てしまうのか!面白い!俺は猗窩座。女!お前も杏寿郎と共に鬼になれ!」

「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!」

自分だけでなく風音にまで興味を抱いた上弦の参……猗窩座から距離をとるために杏寿郎は技を放ち、風音の体を片腕で抱え上げて後ろへと跳躍した。

「不死川に叱られないのか?!あんな無謀な戦い方をして……死んでしまうぞ!」

「?鬼の戯言なんて聞く必要ない、聞く暇あるならさっさと頸斬っちまえって言われてます。師範との共闘はいつもあんな感じですよ?」

あの師ありきの、この弟子だった。
実弥は鬼と対峙すると有無を言わさず攻め込む戦闘方法を好んでいるので…… 風音にもそれが染み付いてしまったらしい。
そもそも風音も鬼に対して好戦的な少女故に実弥との共闘は滅法相性がいいものと窺える。

「ふむ!なんとも心臓に悪い戦い方をしているな!……来るぞ、俺が君の動きに合わせる!予知でも何でも使い思うように戦ってくれて構わない!炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり!」
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