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涼風の残響【鬼滅の刃】

第11章 薄暮と黎明


「夜明けまであと何分だァ?」

「アト一時間チョットダ。到着モソレクライニナル」

実弥は産屋敷家が様々なあれこれで動かしている汽車に乗車している。
しかし途中から線路が変形してしまっているので途中までしか運んでもらえず、夜明け前に到着すると言ってもそこから実弥が走っての時刻である。

「そうか……あと少しで上弦の鬼とアイツら遭遇しちまうなァ。既に怪我してなきゃいいが……してる気がしてならねェ」

「……ソウダナ。風音ハスグニ怪我ヲシテ、他ノ者ノ怪我ヲ優先シテ処置スル。煉獄様ガ気付イテクレレバイイガ」

自分の方がどう見ても深い傷を負っていても、掠り傷を負った剣士を見つければ何故かそちらを優先して処置を施そうとしてしまう。
一般人に対してはそれは特に顕著で、手を擦りむいていようものなら自分が頭から血を流していても処置を施そうとする。

処置される方がそれに驚き遠慮するくらいだ。

「あ"ぁ"……煉獄なら問題ねェだろ。もしアイツが怪我してたら処置するよう促してんじゃねェか?」

二人で杏寿郎を思い浮かべてはそれぞれが頷いている。
それほどまでに杏寿郎は周りの状況をよく見て気を配っているので、柱はもちろん一般剣士や隠たちからの信頼は厚く多くの者に慕われているのだ。

「あとは戦闘中に風音が突拍子のない行動しでかして、煉獄の精神を削っちまわねぇかだなァ。今回だと例えば……鬼の先が見えるようになりました!まだ触れないと見れないので、触れて相手の技を暴いてきます……とか言って突っ走っていこうとしたり……しねぇよなァ?爽籟」

「ヤメテクレ……噂ヲスレバ現実ニナッテシマイソウダ。ソモソモ鬼ノ先ハ見レナイダロウ?」

「いや、まぁそうなんだがなァ。派生の夙の呼吸みてぇに咄嗟に何か出来るようになっちまうかもしれねぇだろ?……寒気するわ」

一人と一羽はそれぞれ身震いして移り変わりゆく窓の外を見遣った。

(何にせよ無事でいろよ……泣く暇あんなら命繋げることだけ考えとけ)

まだまだはるか遠くにいる風音たちへ。
実弥と爽籟は全員の無事を心から祈った。
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