• テキストサイズ

涼風の残響【鬼滅の刃】

第11章 薄暮と黎明


(帰ってきてからずっと寝てんなァ……触っても全然起きねェし、こんなんで本当に任務行けんのかよ)

現在、実弥と風音は二人の寝室に敷いた一つの布団の中で体を休めている。

(胡蝶には激怒されるわ、胡蝶伝いにここ数日の事のあらまし全て聞いた柱の全員から鴉飛ばされて俺が文句言われるわ……継子取るってこんなもんかァ?)

怪我がほぼ完治したため風音はしのぶから家に帰る許可を貰えた。
研究はまだ芳しい結果が出ていないのでもう少し待ってくれと言われた後、風音が杏寿郎の任務に途中合流する旨を伝えると、二人して結構な時間正座をさせられて懇々とお説教を頂戴した。

更には風音を席から外させたあとは、実弥のみが引き続きしのぶから叱責を受け……どうにかそれを乗り越えて風音を連れて家に帰り風音を寝かしつけてやってホッとしたのも束の間。

茶でも飲んでから自分も布団に入ろうかと考えながら居間に辿り着くと、なんと柱全員の鎹鴉が居間と庭を繋ぐ縁側で横一列に並んで待機していたのだ。

そのうち無一郎の鎹鴉である銀子は天元の鎹鴉の虹丸に無理矢理連れてこられたらしいが、他の鎹鴉以上に辛辣な言葉を残して空へ飛び立っていったのだから実弥は笑えたもんではなかった。

「お前を継子にしてから俺の苦労絶えねェんだけど……はァ…… 風音、そろそろ起きろ。任務行く前に飯食っとけ」

跳ねっ返りな性格の風音の身体を抱き寄せ声を掛けると、ようやく瞼がゆっくりと開いていき、夢現のまま暖かさを求めて胸元に顔を填めてきた。

「ん、実弥……さん。今ね、明後日の朝に実弥さんが笑ってる未来が見えたよ。それでね、今みたいに私をギュッてしてくれるの」

それは実弥を含む柱全員が願って止まない未来だ。
しかし風音は無数にある未来の一つを見ただけで、それが現実になるとは限らない。

その未来が現実になるように……心の中で何度も祈りながらもう少しの間、互いの暖かさに身を委ねた。
/ 985ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp