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涼風の残響【鬼滅の刃】

第11章 薄暮と黎明


数日が過ぎ去り風音の怪我の経過も良好……と言うよりも怪我の治りが異常に早い。
どのくらい早いかと言うと、怪我をした当初はベッドから起き上がることすら出来なかったのに、今では固まった体を解すのだと柔軟を繰り広げられるくらいにまで治っているのだ。

ちなみに当然であるが風音は蝶屋敷にて療養生活を余儀なくされているので、不死川邸にいる三匹の家族たちは実弥によって世話を受け……その後に実弥を送り出す生活をしている。

「どうなってんだよ、お前の体。おかしいだろォ……何をどうすりゃ数日で骨引っ付くんだァ?」

当たり前な実弥の質問に風音も首を傾げている。

「どうなってるんだろ?さすがに私もおかしいなって思ってるんだけど、胡蝶さんが目をキラキラさせて原因究明してくれてるから近々分かるかと」

もちろん風音も明らかに異常な治癒速度に悩みはしたものの、その数分後には

治ってるならいいや。自分の変な体に感謝!

とか実弥の前で言い出すほどの呑気ぶりを発揮しているので、実弥の方が頭を悩ませているのが現在である。

「…… 風音、ちょっとベッドの端に座れ」

「ん?うん、どうしたの?」

ベッドの上で一生懸命柔軟に勤しむ風音を手招きしながら実弥が呼び寄せると、風音のことで悩んでいる実弥自身が馬鹿らしくなるくらいに満面の笑みで寄ってくるので、こちらには苦笑いが零れている。

ベッドの端に座り近くになった実弥の手を握り首を傾げる風音を数秒見つめた後、深呼吸してから少し薄くなってしまった肩に顔を預けた。

「お前の予知が正しけりゃ三日後の煉獄の任務に柱は誰も同行出来ねェ。今んところ任務が終わり次第俺たちが向かうことになってるが……間に合うか微妙なとこだァ。それ分かった上でお前が行くのかよ?」

杏寿郎の任務地は柱の任務地から程遠い。
産屋敷家の莫大だと言われている財力をもってもその場まで到着するまでに時間を要する。

これは風音も柱も全員が知らされているので認知されている現実だ。

それにも関わらず、実弥がいくら説いても宥めても諌めても風音は頑なに行かないと言う結論に達してくれず、それは今も変わっていない。
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