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涼風の残響【鬼滅の刃】

第8章 力と忌み血


賑やかで楽しげ?な喧騒も今の風音には朧気にしか聞こえず、実弥が天元に気を取られている間もふらふらと台所へと足を動かしている。

「おいコラ、待てっつってんだろ。あぁ!クソ、宇髄離れろや!アイツ怪我しちまったらどうすんだァ?!任務前だぞ!」

「煉獄!不死川が反抗期を迎えた!あ、柱なった時からずっと反抗期だったか!」

「君もくどい!伊黒、すまないが風音の様子を見てやってくれないか?どうにも二人が落ち着きそうにないのだ!頼んだぞ!」

合同任務だから一緒に赴こうと少し早めに立ち寄ろうとしただけなのに、杏寿郎と天元……主に天元に捕まってしまったが故に巻き込まれてしまった。

頭の痛くなる二人の遣り取りから視線を外し、杏寿郎の頼みを引き受けるべく危なげにふらふら歩く風音の側へと移動して腕を掴んだ。

「俺が茶の準備をする。柊木は台所で少し休んでいろ。怪我をしては任務にならないし、不死川も気を病んでしまう」

「伊黒さん……お手数お掛けしてしまい申し訳ございません。すぐに……落ち着くと思いますので、少しだけお言葉に甘えさせていただきます」

立ち止まり風音が頭を下げて髪がふわりと舞った瞬間、実弥がついさっき付けたであろう印が首元から覗いた。
これこそ不測の事態なのだが、何だか見てはいけないものを見てしまった気持ちになった小芭内はフイと視線を前へと向ける。

「気にする必要はない。それに一人の女子にここまで入れ込む不死川の姿は君が初めて見たからな、友として嬉しく思っている……が、釦を閉めた方がいいと思うぞ。宇髄の目に付けばまた騒ぎが大きくなるからな」

「え……あ、すみません。あの、実弥さんは何をしていたんでしょうか?ピリとした痛みがあったのですけど、何をしたのか教えてくれなくて」

善意から言った言葉がまさかの変化球で返ってきてしまった。

「…………俺に聞くのか……それは……不死川に直接聞いた方がいいだろう。鏑丸、火を使うのでここで……おい!そっちじゃない!」

気まずい質問をどうにか躱し、友である白い蛇、鏑丸を台の上に移動させようとすると、小芭内の考えていた行動は取らず、するすると風音の腕を伝い首元へと到着し、器用にも印が見えないように隊服の上からくるりと巻きついた。
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